再度、実効性のある原発災害避難計画は存在しない!
島根県と鳥取県は、島根原発で深刻事故が発生した場合、住民が避難するのに必要な時間に関する試算を公表しています。島根原発の30km圏内には、島根県に約40万人、鳥取県に約7万人、合計約47万人の人口があります。県の試算では、47万人の90%が自家用車やバスで避難を終えるのにかかる時間は、27時間50分だということです。
試算は、自家用車19万台とバス450台を使用して、広域避難計画で決められた避難先に向かうことを想定しています。また、時期や時間帯などの条件を変え、23パターンのシュミレーションを行っています。このシュミレーションによれば、最も避難が容易な夏の平日昼間に、住民の90%が30km圏外へ避難し終えるまでの時間が27時間50分になったとのことです。
避難時間27時間50分の試算は、「段階的避難」を前提としています。すなわち、島根原発5km圏内の住民が先に避難し、その間屋内退避していた5~30km圏内の住民が次に避難する、国の指針に基づく県の計画を前提としています。この国の指針は、IAEA(国際原子力機関)の概念に従って、原発から5km圏内をPAZ(予防的措置準備区域)、30km圏内をUPZ(緊急防護措置計画区域)と地域を分割しています。
そして、大量被曝する可能性がある5km圏内を先に避難させて、状況に応じて30km圏内を次に避難させるということです。県などは、この方が秩序正しい避難が、比較的短時間で実施できるとしています。いっけん説得力があり、合理的であるように思えますが、楽観的空論にすぎません。
福島第1原発事故を検証した政府事故調査委員会が、当時の吉田所長に事情聴取した内容「吉田調書」の存在が明らかになっています。それによると、事故発生後の福島第1原発は混乱の極みにあったようです。現場担当者の90%が職場放棄したり、核燃料冷却に力を注ぐのが精一杯で、住民避難のために情報提供する余裕など全くないのが実状であることが良く分かります。現在でも核燃料の状態が全く解明されていない福島第1原発の現状を見れば、混乱した事故後の現場から適切な情報など提供されるわけがありません。
こうした状況で原発事故が発生すれば、原発周辺の広範な地域の住民が一斉に避難することは火を見るよりも明らかです。福島第1原発から40kmほどに位置する飯舘村が、未だに全村避難せざるを得ない高線量にあることは多くの国民が知っています。とすれば、30km圏外の住民も避難するであろうことは容易に想定されます。つまり、避難する住民が30km圏内の47万人で収まらないということです。50万人、60万人以上の住民が避難しようとして、大混乱に陥る可能性が高くなるなります。そうした状況になれば、28時間弱で避難完了できるはずがありません。
県の試算では、道路状況などが正常であることを前提としています。しかし、原発事故は、地震などの自然災害とともに複合的に発生する可能性が高くなります。原発事故が起これば、道路や橋などの移動経路、電気や電話などのインフラも正常ではないはずです。松江市の中心部は橋で南北の交通が確保されていますので、1つの橋でも通行できない状態であれば、それだけで大渋滞になります。山が迫る国道や橋脚が連なる高速道路も、多くの箇所で通行不可能になるでしょう。そうしたことなどを考慮すると、28時間ほどで避難できるという試算に説得力は皆無です。
県の試算には他にも欠陥が多数あり、実効性のかけらもありません。と言うよりも、そもそも、原発事故に対する実効性のある避難計画など存在するはずがありません。ともかく、県の試算には「突っ込み」どころが多くありますので、次回も追及していきます。
NAZEN 山陰 福間
試算は、自家用車19万台とバス450台を使用して、広域避難計画で決められた避難先に向かうことを想定しています。また、時期や時間帯などの条件を変え、23パターンのシュミレーションを行っています。このシュミレーションによれば、最も避難が容易な夏の平日昼間に、住民の90%が30km圏外へ避難し終えるまでの時間が27時間50分になったとのことです。
避難時間27時間50分の試算は、「段階的避難」を前提としています。すなわち、島根原発5km圏内の住民が先に避難し、その間屋内退避していた5~30km圏内の住民が次に避難する、国の指針に基づく県の計画を前提としています。この国の指針は、IAEA(国際原子力機関)の概念に従って、原発から5km圏内をPAZ(予防的措置準備区域)、30km圏内をUPZ(緊急防護措置計画区域)と地域を分割しています。
そして、大量被曝する可能性がある5km圏内を先に避難させて、状況に応じて30km圏内を次に避難させるということです。県などは、この方が秩序正しい避難が、比較的短時間で実施できるとしています。いっけん説得力があり、合理的であるように思えますが、楽観的空論にすぎません。
福島第1原発事故を検証した政府事故調査委員会が、当時の吉田所長に事情聴取した内容「吉田調書」の存在が明らかになっています。それによると、事故発生後の福島第1原発は混乱の極みにあったようです。現場担当者の90%が職場放棄したり、核燃料冷却に力を注ぐのが精一杯で、住民避難のために情報提供する余裕など全くないのが実状であることが良く分かります。現在でも核燃料の状態が全く解明されていない福島第1原発の現状を見れば、混乱した事故後の現場から適切な情報など提供されるわけがありません。
こうした状況で原発事故が発生すれば、原発周辺の広範な地域の住民が一斉に避難することは火を見るよりも明らかです。福島第1原発から40kmほどに位置する飯舘村が、未だに全村避難せざるを得ない高線量にあることは多くの国民が知っています。とすれば、30km圏外の住民も避難するであろうことは容易に想定されます。つまり、避難する住民が30km圏内の47万人で収まらないということです。50万人、60万人以上の住民が避難しようとして、大混乱に陥る可能性が高くなるなります。そうした状況になれば、28時間弱で避難完了できるはずがありません。
県の試算では、道路状況などが正常であることを前提としています。しかし、原発事故は、地震などの自然災害とともに複合的に発生する可能性が高くなります。原発事故が起これば、道路や橋などの移動経路、電気や電話などのインフラも正常ではないはずです。松江市の中心部は橋で南北の交通が確保されていますので、1つの橋でも通行できない状態であれば、それだけで大渋滞になります。山が迫る国道や橋脚が連なる高速道路も、多くの箇所で通行不可能になるでしょう。そうしたことなどを考慮すると、28時間ほどで避難できるという試算に説得力は皆無です。
県の試算には他にも欠陥が多数あり、実効性のかけらもありません。と言うよりも、そもそも、原発事故に対する実効性のある避難計画など存在するはずがありません。ともかく、県の試算には「突っ込み」どころが多くありますので、次回も追及していきます。
NAZEN 山陰 福間
by nazensanin
| 2014-06-19 20:24
山陰で原発再稼働阻止・全原発の即時廃止をめざす! 米子市道笑町3-24-202 tel・fax 0859-22-9908 福間育朗 090-4576-1161 gr5536qu6e359dre23nd@docomo.ne.jp
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