宍道断層は島根原発の爆弾だ!
中国電力は、宍道断層の長さを従来約22kmだと主張していましたが、約25kmに見直すと公表しました。宍道断層が延長されたのは西端で、従来は松江市鹿島町古浦を西端としていましたが、そこから約3km西に延長して松江市魚瀬町女島地区を西端にすると発表しました。中電は現在島根原発2号機の新規制基準適合審査の申請を行い、規制委員会が申請を行っています。昨年末の審査において、中電が提出した宍道断層西端の評価データについて、規制委員会が精度不足を指摘していました。規制委員会は余裕を見て、中電のボーリング調査で活断層がないことを確認したとされる魚瀬町付近を西端とするよう示唆していました。
宍道断層の延長については規制委員会が示唆しただけで、文書などで延長を明示して求めたわけではありません。それでも中電が宍道断層を延長したのは、規制委員会が西端延長への意思が固く、22kmこだわることが早期再稼働の障害になると考えたからに他ありません。規制委員会の適合審査に臨む電力会社は、電気事業連合会などを通して情報交換し、規制基準の抜け道や規制委員会の本音などに精通しています。規制委員会の顔色をうかがいながら、いかにして再稼働を早めるかを探ることに「粉骨砕身の努力」を傾注しています。宍道断層の延長は、中電が最小限度の打算的妥協をした結果です。
宍道断層は、ほぼ東西に伸びる島根半島に横たわっています。境港市対岸の松江市美保関町から島根原発の南側約2km地点を通過して、出雲市平田町の十六島
(ウップルイ)湾の先端方向に伸びています。宍道断層は長さ約40kmほどあり、宍道層と呼ばれる地層にあります。宍道断層はその一部が活断層で、この部分を鹿島断層と呼ぶこともあります。宍道断層は新第三紀層
(約2300万年〜前258万年前)の地層にあって、従来からその存在が知られていました。問題は、活断層の存在とその長さです。中電が延長した部分を含めて活断層だと主張しているのは、宍道断層のほぼ東半分の約25kmに過ぎません。
規制委員会は、活断層とは12〜13万年前以降に活動した断層で、判断が難しい断層については40万年前までさかのぼって検討するとしています。宍道断層を研究してきた中田高広島大学名誉教授は、中電が活断層の存在を否定していた地域での現地トレンチ調査で、過去3万年間に6回活動している証拠を確認しています。そして、奈良時代の遺跡を含む地層が切断されていることから、880年に起きた出雲地震と考えられる跡も見つかっています。出雲地震は、880年に島根半島(松江市東出雲町との説もあり)の浅い地点を震源地としてマグニチュード7の地震が発生しています。4〜5世紀の古墳時代には、同じく東出雲町でマグニチュード6.5以上の地震が起こった遺跡もあります。
前述のように、宍道断層を調査し分析した中田名誉教授は、過去3万年間に6回活動した痕跡を発見しています。にもかかわらず、中電は当初活断層の存在すら認めようとしませんでした。中電は2号機設置許可申請(1981年)の中で、島根原発の2kmほどを通過して8.5kmの断層を指摘する研究論文を紹介したりしていますが、中電としては断層として評価することはありませんでした。また、公開ヒアリングで断層の存在を住民から追求されていますが、中電はこれらも一切無視して、活断層の存在を認めることはありませんでした。そして、活断層は兵庫県南部地震(1995年、阪神淡路大震災)が発生するまで省みられることはありませんでした。
中電は3号機建設に際して、周辺の地質調査として宍道断層の調査を始めました。そして、兵庫県南部地震発生後の1998年8月初めて宍道断層の存在を認め、その長さを8kmとします。その当時1号機は24年間、2号機は9年間も運転されていました。当然のことですが1、2号機は、原発に影響を及ぼす活断層はないとして設置許可申請などがなされ、活断層がないことを前提として耐震工事が行われています。その間、住民が避難を強いられるような深刻事故がなかったのは、単なる幸運に過ぎません。その後中電は、2004年には10km、2008年には22km、2016年には25kmと宍道断層の長さを次々と伸ばしていきます。宍道断層が「成長する活断層」などと揶揄される所以は、中電のこうした場当たり的ないい加減な対応にあります。
私たちは、地震学、地質学、変動地形学などの専門家の調査や分析に基づき、宍道断層は全域が活断層の可能性があると主張しています。さらに、島根原発が立地している島根半島の周辺海域には、多数の海底活断層が確認されています。鳥取県の日本海沿岸には、鳥取沖東部断層(51km)と鳥取沖西部断層(33km)があります。隠岐島周辺には複数の断層があり、100kmを越える断層もあります。島根半島の西部にもいくつもの海底活断層が確認されています。宍道断層はこれらの断層、特に鳥取沖の海底断層と連動して活動する可能性があると指摘されています。宍道断層単独で活動した場合でも、最小でマグニチュード7の地震が起こる可能性を専門家は指摘しています。周辺の海底活断層と連動すれば、さらなる破局的影響を島根原発に及ぼします。
中電に宍道断層を認めさせ、中電が何度も延長せざるを得なかったのは、住民の力の結集があったからです。島根原発運転差し止め訴訟やさまざまな反原発運動によって追求され、中電の主張が論破された結果です。中電は、再稼働を優先させて宍道断層を25kmまで延長しましたが、中電は基本的主張を変更したわけではありません。また、宍道断層の東側については、中電はもちろん規制委員も何ら問題にしていません。宍道断層の東側はさらに東、すなわち美保関の方に伸びている可能性を専門家は指摘しています。中電は3kmだけ西に延長し、基準地震動を800ガルまで上げて、適当にお茶を濁しただけです。住民や市民の力を結集して、今後も中電や規制委員会、さらには国への追求の手を強めなければなりません。
NAZEN 山陰 福間
宍道断層の延長については規制委員会が示唆しただけで、文書などで延長を明示して求めたわけではありません。それでも中電が宍道断層を延長したのは、規制委員会が西端延長への意思が固く、22kmこだわることが早期再稼働の障害になると考えたからに他ありません。規制委員会の適合審査に臨む電力会社は、電気事業連合会などを通して情報交換し、規制基準の抜け道や規制委員会の本音などに精通しています。規制委員会の顔色をうかがいながら、いかにして再稼働を早めるかを探ることに「粉骨砕身の努力」を傾注しています。宍道断層の延長は、中電が最小限度の打算的妥協をした結果です。
宍道断層は、ほぼ東西に伸びる島根半島に横たわっています。境港市対岸の松江市美保関町から島根原発の南側約2km地点を通過して、出雲市平田町の十六島
(ウップルイ)湾の先端方向に伸びています。宍道断層は長さ約40kmほどあり、宍道層と呼ばれる地層にあります。宍道断層はその一部が活断層で、この部分を鹿島断層と呼ぶこともあります。宍道断層は新第三紀層
(約2300万年〜前258万年前)の地層にあって、従来からその存在が知られていました。問題は、活断層の存在とその長さです。中電が延長した部分を含めて活断層だと主張しているのは、宍道断層のほぼ東半分の約25kmに過ぎません。
規制委員会は、活断層とは12〜13万年前以降に活動した断層で、判断が難しい断層については40万年前までさかのぼって検討するとしています。宍道断層を研究してきた中田高広島大学名誉教授は、中電が活断層の存在を否定していた地域での現地トレンチ調査で、過去3万年間に6回活動している証拠を確認しています。そして、奈良時代の遺跡を含む地層が切断されていることから、880年に起きた出雲地震と考えられる跡も見つかっています。出雲地震は、880年に島根半島(松江市東出雲町との説もあり)の浅い地点を震源地としてマグニチュード7の地震が発生しています。4〜5世紀の古墳時代には、同じく東出雲町でマグニチュード6.5以上の地震が起こった遺跡もあります。
前述のように、宍道断層を調査し分析した中田名誉教授は、過去3万年間に6回活動した痕跡を発見しています。にもかかわらず、中電は当初活断層の存在すら認めようとしませんでした。中電は2号機設置許可申請(1981年)の中で、島根原発の2kmほどを通過して8.5kmの断層を指摘する研究論文を紹介したりしていますが、中電としては断層として評価することはありませんでした。また、公開ヒアリングで断層の存在を住民から追求されていますが、中電はこれらも一切無視して、活断層の存在を認めることはありませんでした。そして、活断層は兵庫県南部地震(1995年、阪神淡路大震災)が発生するまで省みられることはありませんでした。
中電は3号機建設に際して、周辺の地質調査として宍道断層の調査を始めました。そして、兵庫県南部地震発生後の1998年8月初めて宍道断層の存在を認め、その長さを8kmとします。その当時1号機は24年間、2号機は9年間も運転されていました。当然のことですが1、2号機は、原発に影響を及ぼす活断層はないとして設置許可申請などがなされ、活断層がないことを前提として耐震工事が行われています。その間、住民が避難を強いられるような深刻事故がなかったのは、単なる幸運に過ぎません。その後中電は、2004年には10km、2008年には22km、2016年には25kmと宍道断層の長さを次々と伸ばしていきます。宍道断層が「成長する活断層」などと揶揄される所以は、中電のこうした場当たり的ないい加減な対応にあります。
私たちは、地震学、地質学、変動地形学などの専門家の調査や分析に基づき、宍道断層は全域が活断層の可能性があると主張しています。さらに、島根原発が立地している島根半島の周辺海域には、多数の海底活断層が確認されています。鳥取県の日本海沿岸には、鳥取沖東部断層(51km)と鳥取沖西部断層(33km)があります。隠岐島周辺には複数の断層があり、100kmを越える断層もあります。島根半島の西部にもいくつもの海底活断層が確認されています。宍道断層はこれらの断層、特に鳥取沖の海底断層と連動して活動する可能性があると指摘されています。宍道断層単独で活動した場合でも、最小でマグニチュード7の地震が起こる可能性を専門家は指摘しています。周辺の海底活断層と連動すれば、さらなる破局的影響を島根原発に及ぼします。
中電に宍道断層を認めさせ、中電が何度も延長せざるを得なかったのは、住民の力の結集があったからです。島根原発運転差し止め訴訟やさまざまな反原発運動によって追求され、中電の主張が論破された結果です。中電は、再稼働を優先させて宍道断層を25kmまで延長しましたが、中電は基本的主張を変更したわけではありません。また、宍道断層の東側については、中電はもちろん規制委員も何ら問題にしていません。宍道断層の東側はさらに東、すなわち美保関の方に伸びている可能性を専門家は指摘しています。中電は3kmだけ西に延長し、基準地震動を800ガルまで上げて、適当にお茶を濁しただけです。住民や市民の力を結集して、今後も中電や規制委員会、さらには国への追求の手を強めなければなりません。
NAZEN 山陰 福間
by nazensanin
| 2016-02-22 21:05
山陰で原発再稼働阻止・全原発の即時廃止をめざす! 米子市道笑町3-24-202 tel・fax 0859-22-9908 福間育朗 090-4576-1161 gr5536qu6e359dre23nd@docomo.ne.jp
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