核燃料税、使用済み核燃料税を廃止せよ!
全国の原発が立地する自治体は、原発の核燃料に対して税金を課しています。核燃料への課税は、住民税など地方税法で定められた税目と異なり、自治体が独自に条例を定めて税を課すもので、法定外普通税と呼ばれる税目です。核燃料税は、核燃料の価格を基準にした価額割と出力に応じて課せられる出力割によって成り立っています。価額割は価額の数%の税率で課せられ、原発が稼動していることが前提です。原発が停止していて課税できないケースを避けるために、創設されたのが出力割です。出力割は、原発が停止していても熱出力に応じて課税されます。核燃料税の出力割は、2000年に原発が集中する福井県が始め、核燃料税を確実な税収源とするために全国の立地自治体が追従しました。
核燃料税は福井県が1976年に創設しています。島根県は島根原発の核燃料税を
1980年に創設し、5年ごとに更新しています。現在、価額割の税率が核燃料の価額の8.5%となっています。しかし、島根原発が点検もれ問題などで2010年以降度々停止し、核燃料税が課税できない状態が続きます。そこで、島根県は福井県が導入し、停止していても課税できる出力割を2014年に創設します。島根県は、原子炉の熱出力千キロワットあたり41,100円(3ヵ月)を税率としています。出力割が8.5%の税率で、価額割と合算した核燃料税は17%の税率となります。島根県が中国電力から徴収した核燃料税は、県が80%、松江市が12%、出雲市が4%、安来市が2%、雲南市が2%の割合で配分されています。53
核燃料に関しては、さらに使用済み核燃料税を課している自治体もあります。使用済み核燃料税は、2003年に東電柏崎刈羽原発がある新潟県柏崎市と九州電力川内原発がある鹿児島県薩摩川内市が創設した法定外普通税です。上記自治体のほかに現在使用済み核燃料税を導入しているのは、青森県大間町、むつ市、東通村、六ヶ所村、茨城県東海村の7自治体です。ほかにも、佐賀県玄海町、宮城県女川町、松江市、福井県などが17年度以降に課税を予定または検討しています。税率は自治体によって異なりますが、核燃料プールなどに貯蔵されている使用済み核燃料に課税されます。柏崎市の場合、貯蔵されている使用済み核燃料の重量1kgにつき480円が課税されています。
国内の各原発にある使用済み核燃料の貯蔵容量は合計約2万650トンで、既に約1万4730トンすなわち約71%が埋まっています。国内原発の貯蔵残量あるいは核燃料プールが満杯になるまでの年数をみてみると、原発によってかなり差があります。経産省の資料を基にすると、美浜原発が19.3年、泊原発が16.5年、東通原発が15.1年、島根原発が
14.7年でそれぞれ満杯になります。一方、浜岡原発が
2.3年、柏崎刈羽原発が3.1年、東海第2原発が3.1年で満杯となり、六ヶ所村の再処理工場も98.8%が埋まっています。これらは、水を張ったプールで冷やす「湿式」の貯蔵方法です。このほかにも、5年ほど核燃料プールで冷やした後、金属やコンクリート製の容器に密封して空気循環で冷やす「乾式」の貯蔵方法もあって、浜岡原発と青森県むつ市で建設されています。
原発再稼働が見通せない立地自治体では、電源三法交付金や運転開始から年月が経ち固定資産税なども大幅に減少しています。玄海原発がある佐賀県玄海町などは、歳入の60%を原発関連収入が占めていますが、
2017年度には地方交付税の交付団体に転落するということです。玄海原発の核燃料税の出力割は佐賀県が課税していますが、玄海町に交付されるのは約4%に過ぎません。そこで、玄海町は玄海原発の使用済み核燃料税を来年度から課税すると表明しました。玄海町はこれによって得られる4億円に目がくらみ、目先の利益を第1に考えたということです。
玄海町だけでなく、事情は原発関連の交付金などが減少し続けている他の立地自治体も同様です。松浦松江市長は、島根原発の使用済み核燃料税の導入を2007年の県議会で表明していました。しかし島根原発1号機の廃炉が決定した昨年、「使用済み核燃料は、できるだけ速やかに市外に持っていってほしい」と言いながら使用済み核燃料への課税は「今の時点では考えていない」と言明していました。ところが、松浦市長は今年3月の記者会見で使用済み核燃料税導入を再度表明しています。松浦市長は「長期間使用済み核燃料を置き続けることは認められない」としながら、搬出を経済的に促す方法の1つとして「追い出し税のようなものを考えていく必要がある」と述べています。
松浦松江市長の言い分は支離滅裂で、何の説得力もありません。松浦市長は、使用済み核燃料税について「追い出し税」と言っています。しかし、そもそも原発にはさまざまな税が課されていますが、そのことで設置された原発が撤退した例はありません。使用済み核燃料についても同様で、仮に原発敷地内から使用済み核燃料が搬出されたとしても、別の搬入先でも同様の課税がなされます。利にさとい中電だけでなく、誰でもこの位の筋道は分かります。その上、使用済み核燃料を「追い出し」て、その搬入先があるとでも言うのでしょうか。搬入先が事実上の最終処分場になる可能性は限りなく高く、搬入を認める自治体が見つかる可能性は限りなくゼロに違いありません。
松江市長の発言は、こうした情勢を首長として充分承知しています。そのうえで、「島根原発敷地内での使用済み核燃料の長期間貯蔵を認めない」として市民の安全を守るポーズを示しながら、使用済み核燃料税などの核燃料税を確実に徴収できる長期財源として維持したいと考えているはずです。原発推進政策を取る限り、当然の帰結です。松江市が使用済み核燃料税を導入するためには、核燃料の課税のための条例が必要です。条例は総務相の承認が必要ですが、「承認」手続きは事実上形式的なものです。課税を中電が認めれば、中電が徴税されます。中電が払う税金は電気料金に上乗せされて、結局利用者の負担となります。しかし、課税を承認する過程で市民の意向は全く反映されません。
原発や核燃料の貯蔵を固定化する核燃料税や使用済み核燃料税には絶対反対です。
NAZEN 山陰 福間
核燃料税は福井県が1976年に創設しています。島根県は島根原発の核燃料税を
1980年に創設し、5年ごとに更新しています。現在、価額割の税率が核燃料の価額の8.5%となっています。しかし、島根原発が点検もれ問題などで2010年以降度々停止し、核燃料税が課税できない状態が続きます。そこで、島根県は福井県が導入し、停止していても課税できる出力割を2014年に創設します。島根県は、原子炉の熱出力千キロワットあたり41,100円(3ヵ月)を税率としています。出力割が8.5%の税率で、価額割と合算した核燃料税は17%の税率となります。島根県が中国電力から徴収した核燃料税は、県が80%、松江市が12%、出雲市が4%、安来市が2%、雲南市が2%の割合で配分されています。53
核燃料に関しては、さらに使用済み核燃料税を課している自治体もあります。使用済み核燃料税は、2003年に東電柏崎刈羽原発がある新潟県柏崎市と九州電力川内原発がある鹿児島県薩摩川内市が創設した法定外普通税です。上記自治体のほかに現在使用済み核燃料税を導入しているのは、青森県大間町、むつ市、東通村、六ヶ所村、茨城県東海村の7自治体です。ほかにも、佐賀県玄海町、宮城県女川町、松江市、福井県などが17年度以降に課税を予定または検討しています。税率は自治体によって異なりますが、核燃料プールなどに貯蔵されている使用済み核燃料に課税されます。柏崎市の場合、貯蔵されている使用済み核燃料の重量1kgにつき480円が課税されています。
国内の各原発にある使用済み核燃料の貯蔵容量は合計約2万650トンで、既に約1万4730トンすなわち約71%が埋まっています。国内原発の貯蔵残量あるいは核燃料プールが満杯になるまでの年数をみてみると、原発によってかなり差があります。経産省の資料を基にすると、美浜原発が19.3年、泊原発が16.5年、東通原発が15.1年、島根原発が
14.7年でそれぞれ満杯になります。一方、浜岡原発が
2.3年、柏崎刈羽原発が3.1年、東海第2原発が3.1年で満杯となり、六ヶ所村の再処理工場も98.8%が埋まっています。これらは、水を張ったプールで冷やす「湿式」の貯蔵方法です。このほかにも、5年ほど核燃料プールで冷やした後、金属やコンクリート製の容器に密封して空気循環で冷やす「乾式」の貯蔵方法もあって、浜岡原発と青森県むつ市で建設されています。
原発再稼働が見通せない立地自治体では、電源三法交付金や運転開始から年月が経ち固定資産税なども大幅に減少しています。玄海原発がある佐賀県玄海町などは、歳入の60%を原発関連収入が占めていますが、
2017年度には地方交付税の交付団体に転落するということです。玄海原発の核燃料税の出力割は佐賀県が課税していますが、玄海町に交付されるのは約4%に過ぎません。そこで、玄海町は玄海原発の使用済み核燃料税を来年度から課税すると表明しました。玄海町はこれによって得られる4億円に目がくらみ、目先の利益を第1に考えたということです。
玄海町だけでなく、事情は原発関連の交付金などが減少し続けている他の立地自治体も同様です。松浦松江市長は、島根原発の使用済み核燃料税の導入を2007年の県議会で表明していました。しかし島根原発1号機の廃炉が決定した昨年、「使用済み核燃料は、できるだけ速やかに市外に持っていってほしい」と言いながら使用済み核燃料への課税は「今の時点では考えていない」と言明していました。ところが、松浦市長は今年3月の記者会見で使用済み核燃料税導入を再度表明しています。松浦市長は「長期間使用済み核燃料を置き続けることは認められない」としながら、搬出を経済的に促す方法の1つとして「追い出し税のようなものを考えていく必要がある」と述べています。
松浦松江市長の言い分は支離滅裂で、何の説得力もありません。松浦市長は、使用済み核燃料税について「追い出し税」と言っています。しかし、そもそも原発にはさまざまな税が課されていますが、そのことで設置された原発が撤退した例はありません。使用済み核燃料についても同様で、仮に原発敷地内から使用済み核燃料が搬出されたとしても、別の搬入先でも同様の課税がなされます。利にさとい中電だけでなく、誰でもこの位の筋道は分かります。その上、使用済み核燃料を「追い出し」て、その搬入先があるとでも言うのでしょうか。搬入先が事実上の最終処分場になる可能性は限りなく高く、搬入を認める自治体が見つかる可能性は限りなくゼロに違いありません。
松江市長の発言は、こうした情勢を首長として充分承知しています。そのうえで、「島根原発敷地内での使用済み核燃料の長期間貯蔵を認めない」として市民の安全を守るポーズを示しながら、使用済み核燃料税などの核燃料税を確実に徴収できる長期財源として維持したいと考えているはずです。原発推進政策を取る限り、当然の帰結です。松江市が使用済み核燃料税を導入するためには、核燃料の課税のための条例が必要です。条例は総務相の承認が必要ですが、「承認」手続きは事実上形式的なものです。課税を中電が認めれば、中電が徴税されます。中電が払う税金は電気料金に上乗せされて、結局利用者の負担となります。しかし、課税を承認する過程で市民の意向は全く反映されません。
原発や核燃料の貯蔵を固定化する核燃料税や使用済み核燃料税には絶対反対です。
NAZEN 山陰 福間
by nazensanin
| 2016-04-10 13:20
山陰で原発再稼働阻止・全原発の即時廃止をめざす! 米子市道笑町3-24-202 tel・fax 0859-22-9908 福間育朗 090-4576-1161 gr5536qu6e359dre23nd@docomo.ne.jp
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