再稼働を前提とした実効性のない避難訓練絶対反対!
関西電力高浜原発や四国電力伊方原発などで、事故を想定した広域避難訓練が行われています。原発事故の際、原発の30km圏内の住民を他府県など広域に避難させることは、福島原発事故後に改定された原子力災害対策指針に定められています。また、防災基本計画(原子力災害対策編)によって、当該地域の地方公共団体が広域的な避難に関する計画を策定するとされています。これによって、各地の原発立地自治体では広域避難計画が策定され、計画に基づく広域避難訓練が行われています。しかし、避難計画は自然災害との複合的災害を想定しない決定的な欠陥計画です。さらに、避難訓練も現実離れした実効性のないもので、再稼働のアリバイ作りに過ぎません。
30km圏内に約18万人の人口がある高浜原発の広域避難訓練は、関係機関や住民ら約9千人が参加して先月
27日に行われました。広域避難計画は、原発の深刻事故が発生した際5km圏内は直ちに避難し、30km圏内はその間屋内退避をして空間線量が500マイクロシーベルトになって避難を開始する二段階避難を前提としています。福井県の訓練に参加した約700人の住民が、二段階の時間差避難を行いました。しかし、福井県の
30km圏内だけで5万4千人の人口があり、千人にも満たない住民が訓練したとしても、迅速避難を保証することは不可能です。訓練区域にある福井県のある地域では、5kmと30km圏内の境目は幅5mの小さな川だそうです。地域住民は「川の向こうが逃げたら、こっちもすぐ逃げますわ」と言っています。
福井県の試算では、30km圏内の住民が圏外避難を完了するには、二段階避難をすると最長11時間が必要だとしています。住民には、今回の訓練には参加していませんが、入院している人や高齢者など要援護者も当然含まれます。また「川の向こうが逃げたら、こっちも逃げる」という先の住民が真実を吐露したように、二段階避難が機能するはずはなく、11時間で避難が終了するということはあり得ません。そうであれば、車で避難する人の大渋滞が発生するのは、だれが考えても分かることです。28日には大飯原発30km圏内の避難訓練が行われ、参加した住民の一人は「渋滞が不安。避難所までたどり着けるのか」と述べ、渋滞のため計画の実効性が担保されないことに強い疑いを投げ掛けています。
各地で実施される原発事故の広域避難訓練はどこも同じですが、高浜原発の広域避難訓練も実際の状況を無視した、現実離れしたパフォーマンスのような訓練のための訓練でした。高浜原発の避難訓練は、夏休みなど渋滞が頻発する行楽シーズンを避けて行われました。参加者の大半は想定されるマイカーではなく、駐車場が確保できないという理由でバス約30台を利用しました。また、福井県が主体となるはずのスクリーニング(放射能汚染検査)も、緊急時に駆けつけられない九州電力や四国電力の応援組が担当していました。さらに、5km圏内の一部住民は船舶やヘリコプターで避難する計画でしたが、悪天候のためバスでの避難に変更されました。
広域避難計画が何よりも非現実的なのは、地震や津波などの大規模自然災害と原発事故が複合的に発生する可能性が高いことを全く想定していない点です。この計画に基づく広域避難訓練も、当然複合的事故は起こらないことを前提に実施されます。避難する道路、港湾、鉄道、空港などの施設が使用できることが前提になっています。地震のため家屋が倒壊し、住民の救出や保護する事態は想定されていません。島根県庁や松江市役所は島根原発から9km圏内にありますが、島根原発の深刻事故の際も機能することが前提となっています。今月4日には、四国電力伊方原発の避難訓練が行われました。伊方原発の西にある佐田岬半島の住民は、フェリーに乗船して訓練を行うことになっていましたが、台風のため中止されています。
広域避難訓練を実施する自治体や内閣府は、原発事故は台風、地震、津波、風水害などを避けて発生するとでも言うつもりでしょうか。原発事故が起こったとしても、道路、トンネル、橋梁、港湾施設、鉄道などには被害が及ばないとでも言うつもりでしょうか。高浜原発の避難訓練では、原発に近い高齢者施設であっても、手順を確認しただけでした。訓練への参加も困難な認知症の高齢者には、原発事故の被害も降りかからないとでも言うつもりでしょうか。そして、再稼働にお墨付きを与える政府と原子力規制委員会や再稼働を強行する電力会社は、事故が起こったとしても「安全」措置が完全に施されていると言うつもりでしょうか。いや、彼らにはそもそも住民の安全など眼中にはありません。
住民の安全を確保するためには、実効性のない広域避難訓練をすることではなく、先ずは原発の再稼働を止めることです。そして、広域避難訓練を再稼働の口実にすることなど断じて許すことはできません。
NAZEN 山陰 福間
30km圏内に約18万人の人口がある高浜原発の広域避難訓練は、関係機関や住民ら約9千人が参加して先月
27日に行われました。広域避難計画は、原発の深刻事故が発生した際5km圏内は直ちに避難し、30km圏内はその間屋内退避をして空間線量が500マイクロシーベルトになって避難を開始する二段階避難を前提としています。福井県の訓練に参加した約700人の住民が、二段階の時間差避難を行いました。しかし、福井県の
30km圏内だけで5万4千人の人口があり、千人にも満たない住民が訓練したとしても、迅速避難を保証することは不可能です。訓練区域にある福井県のある地域では、5kmと30km圏内の境目は幅5mの小さな川だそうです。地域住民は「川の向こうが逃げたら、こっちもすぐ逃げますわ」と言っています。
福井県の試算では、30km圏内の住民が圏外避難を完了するには、二段階避難をすると最長11時間が必要だとしています。住民には、今回の訓練には参加していませんが、入院している人や高齢者など要援護者も当然含まれます。また「川の向こうが逃げたら、こっちも逃げる」という先の住民が真実を吐露したように、二段階避難が機能するはずはなく、11時間で避難が終了するということはあり得ません。そうであれば、車で避難する人の大渋滞が発生するのは、だれが考えても分かることです。28日には大飯原発30km圏内の避難訓練が行われ、参加した住民の一人は「渋滞が不安。避難所までたどり着けるのか」と述べ、渋滞のため計画の実効性が担保されないことに強い疑いを投げ掛けています。
各地で実施される原発事故の広域避難訓練はどこも同じですが、高浜原発の広域避難訓練も実際の状況を無視した、現実離れしたパフォーマンスのような訓練のための訓練でした。高浜原発の避難訓練は、夏休みなど渋滞が頻発する行楽シーズンを避けて行われました。参加者の大半は想定されるマイカーではなく、駐車場が確保できないという理由でバス約30台を利用しました。また、福井県が主体となるはずのスクリーニング(放射能汚染検査)も、緊急時に駆けつけられない九州電力や四国電力の応援組が担当していました。さらに、5km圏内の一部住民は船舶やヘリコプターで避難する計画でしたが、悪天候のためバスでの避難に変更されました。
広域避難計画が何よりも非現実的なのは、地震や津波などの大規模自然災害と原発事故が複合的に発生する可能性が高いことを全く想定していない点です。この計画に基づく広域避難訓練も、当然複合的事故は起こらないことを前提に実施されます。避難する道路、港湾、鉄道、空港などの施設が使用できることが前提になっています。地震のため家屋が倒壊し、住民の救出や保護する事態は想定されていません。島根県庁や松江市役所は島根原発から9km圏内にありますが、島根原発の深刻事故の際も機能することが前提となっています。今月4日には、四国電力伊方原発の避難訓練が行われました。伊方原発の西にある佐田岬半島の住民は、フェリーに乗船して訓練を行うことになっていましたが、台風のため中止されています。
広域避難訓練を実施する自治体や内閣府は、原発事故は台風、地震、津波、風水害などを避けて発生するとでも言うつもりでしょうか。原発事故が起こったとしても、道路、トンネル、橋梁、港湾施設、鉄道などには被害が及ばないとでも言うつもりでしょうか。高浜原発の避難訓練では、原発に近い高齢者施設であっても、手順を確認しただけでした。訓練への参加も困難な認知症の高齢者には、原発事故の被害も降りかからないとでも言うつもりでしょうか。そして、再稼働にお墨付きを与える政府と原子力規制委員会や再稼働を強行する電力会社は、事故が起こったとしても「安全」措置が完全に施されていると言うつもりでしょうか。いや、彼らにはそもそも住民の安全など眼中にはありません。
住民の安全を確保するためには、実効性のない広域避難訓練をすることではなく、先ずは原発の再稼働を止めることです。そして、広域避難訓練を再稼働の口実にすることなど断じて許すことはできません。
NAZEN 山陰 福間
by nazensanin
| 2016-09-09 20:38
山陰で原発再稼働阻止・全原発の即時廃止をめざす! 米子市道笑町3-24-202 tel・fax 0859-22-9908 福間育朗 090-4576-1161 gr5536qu6e359dre23nd@docomo.ne.jp
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