国、東電は福島原発事故の責任を認めよ!
東京電力福島第1原発事故の損害賠償を求めた訴訟で、東電と国賠償責任を認める判決が下されました。原発事故で福島県から群馬県などに避難した住民たち
137人が原告となり、国と東電に約15億円の損害賠償を求め前橋地裁に提訴していました。前橋地裁の原道子裁判長は、「東電は巨大津波を予見してして、事故は防ぐことができた」と判断し、東電と安全規制を怠った国の賠償責任を認めました。原告側弁護団は「原発の津波対策を巡る訴訟で国と東電の過失が認められたのは初めて。国の賠償責任を認めたことは極めて大きな意味がある。」と判決を評価しています。福島原発事故について、国の過失責任を認めた初めての判決です。
判決は先ず、福島第1原発を襲った津波は予想可能であったとしました。その根拠は、政府の地震調査研究推進本部が2002年にまとめた、巨大津波や地震の可能性を指摘した長期評価です。長期評価は、三陸から房総半島沖にかけて、今後
30年間にM8クラスの巨大津波地震が20%の確率で発生する指摘しています。原告は、2006年に当時の保安院と原子力安全基盤機構が「溢水(いっすい)勉強会」を設置し、大津波の可能性や影響を検討していた事実を指摘し、津波は予見できたと主張しました。勉強会で保安院は、福島第1原発で15.9mの津波を受けると報告していました。2011年には、想定とほぼ同じ15.5mとされる津波が襲っています。
過失責任の有無について国は、「長期評価は科学的知見として不十分で巨大津波は予見できなかった」と主張しました。また「国は基本設計を東電に変更させる規制権限がなかった」として、国に過失責任はないと開き直りました。原発再稼働を推進する安倍政権や各地で行われる原発訴訟での国の主張に通底しているのは、原発事故に対して過失責任はないとする傍観者の立場です。判決は「長期評価は地震学者の見解をまとめたもので合理的だ。国は規制権限を行使すべきだった。」として、国と東電の主張を退けました。福島原発事故以前の規制基準や原子炉等規制法にも、地震や津波対策の規制はありますので、「規制権限がなかった」とする根拠はありません。国の過失責任を認めた判決によって、原発事故が人災であったことが改めて明確になりました。
判決は「1年でできる電源車の高台配置やケーブルの敷設という暫定的対策すら行わなかった」と東電の余りにずさんな対応と、それを追認した国の過失責任を認めています。また、配電盤を高台に設置するなどの措置は容易で、こうした措置を取っていれば事故は発生しなかったとして、安全より経済的合理性を優先させたことなどを「特に非難に値する事実がある」と厳しく告発しています。さらに国については、07年に東電の自発的津波対策が難しいという状況を認識しながらも、規制権限を発動して対策を取らせるべきだったのに怠ったとして「著しく合理性を欠き、違法だ」と述べています。抑えた表現ながら、最大限厳しい言葉で断罪しています。
前橋地裁判決は、危険な事態や被害が発生する恐れがあることを事前に認識できたという予見可能性を認めた点に意義があります。そして、予知できる危険を回避する対策を怠り、重大な被害を招いた過失責任を国と東電に認めたことも注目に値します。しかし、予見可能性や過失責任については国会事故調なども指摘していたことです。東日本大震災で発生した地震や津波予知可能であり、国や東電などに過失責任があることは至極当然のことです。福島原発事故は起こるべくして起こった人災であるにもかかわらず、前橋地裁判決を「画期的」と評価しなければならないところに司法権力の限界があると考えます。司法は、地裁判決で原発再稼働を停止させる仮処分の決定したりする例はありますが、上級裁判所ではことごとく原告の請求を棄却しています。
前橋地裁判決は、健康被害の有無に関係なく「平穏に暮らす権利」も認めていています。しかし、平穏に暮らす権利を侵された代償である慰謝料については、全く不当なものです。原告は「生活基盤を失い、慣れない土地で精神的苦痛を受けた」として慰謝料を求めました。原告は避難指示区域の住民76人と区域外の自主避難者61人で、1人当たり千百万円の慰謝料を求めました。しかし裁判所が賠償を認めたのは、区域内が
19人で1人当たり75〜350万円、区域外が43人で7〜73万円に過ぎません。判決は、国の原子力損害賠償紛争審査会が決めた賠償についての中間指針の合理性を認めています。判決が認めた賠償はこの指針に沿ったもので、財政や経済原理を優先させた指針に合理性などあり得ません。その上、半数が賠償を棄却され、不当極まりない判断です。
NAZEN 山陰 福間
137人が原告となり、国と東電に約15億円の損害賠償を求め前橋地裁に提訴していました。前橋地裁の原道子裁判長は、「東電は巨大津波を予見してして、事故は防ぐことができた」と判断し、東電と安全規制を怠った国の賠償責任を認めました。原告側弁護団は「原発の津波対策を巡る訴訟で国と東電の過失が認められたのは初めて。国の賠償責任を認めたことは極めて大きな意味がある。」と判決を評価しています。福島原発事故について、国の過失責任を認めた初めての判決です。
判決は先ず、福島第1原発を襲った津波は予想可能であったとしました。その根拠は、政府の地震調査研究推進本部が2002年にまとめた、巨大津波や地震の可能性を指摘した長期評価です。長期評価は、三陸から房総半島沖にかけて、今後
30年間にM8クラスの巨大津波地震が20%の確率で発生する指摘しています。原告は、2006年に当時の保安院と原子力安全基盤機構が「溢水(いっすい)勉強会」を設置し、大津波の可能性や影響を検討していた事実を指摘し、津波は予見できたと主張しました。勉強会で保安院は、福島第1原発で15.9mの津波を受けると報告していました。2011年には、想定とほぼ同じ15.5mとされる津波が襲っています。
過失責任の有無について国は、「長期評価は科学的知見として不十分で巨大津波は予見できなかった」と主張しました。また「国は基本設計を東電に変更させる規制権限がなかった」として、国に過失責任はないと開き直りました。原発再稼働を推進する安倍政権や各地で行われる原発訴訟での国の主張に通底しているのは、原発事故に対して過失責任はないとする傍観者の立場です。判決は「長期評価は地震学者の見解をまとめたもので合理的だ。国は規制権限を行使すべきだった。」として、国と東電の主張を退けました。福島原発事故以前の規制基準や原子炉等規制法にも、地震や津波対策の規制はありますので、「規制権限がなかった」とする根拠はありません。国の過失責任を認めた判決によって、原発事故が人災であったことが改めて明確になりました。
判決は「1年でできる電源車の高台配置やケーブルの敷設という暫定的対策すら行わなかった」と東電の余りにずさんな対応と、それを追認した国の過失責任を認めています。また、配電盤を高台に設置するなどの措置は容易で、こうした措置を取っていれば事故は発生しなかったとして、安全より経済的合理性を優先させたことなどを「特に非難に値する事実がある」と厳しく告発しています。さらに国については、07年に東電の自発的津波対策が難しいという状況を認識しながらも、規制権限を発動して対策を取らせるべきだったのに怠ったとして「著しく合理性を欠き、違法だ」と述べています。抑えた表現ながら、最大限厳しい言葉で断罪しています。
前橋地裁判決は、危険な事態や被害が発生する恐れがあることを事前に認識できたという予見可能性を認めた点に意義があります。そして、予知できる危険を回避する対策を怠り、重大な被害を招いた過失責任を国と東電に認めたことも注目に値します。しかし、予見可能性や過失責任については国会事故調なども指摘していたことです。東日本大震災で発生した地震や津波予知可能であり、国や東電などに過失責任があることは至極当然のことです。福島原発事故は起こるべくして起こった人災であるにもかかわらず、前橋地裁判決を「画期的」と評価しなければならないところに司法権力の限界があると考えます。司法は、地裁判決で原発再稼働を停止させる仮処分の決定したりする例はありますが、上級裁判所ではことごとく原告の請求を棄却しています。
前橋地裁判決は、健康被害の有無に関係なく「平穏に暮らす権利」も認めていています。しかし、平穏に暮らす権利を侵された代償である慰謝料については、全く不当なものです。原告は「生活基盤を失い、慣れない土地で精神的苦痛を受けた」として慰謝料を求めました。原告は避難指示区域の住民76人と区域外の自主避難者61人で、1人当たり千百万円の慰謝料を求めました。しかし裁判所が賠償を認めたのは、区域内が
19人で1人当たり75〜350万円、区域外が43人で7〜73万円に過ぎません。判決は、国の原子力損害賠償紛争審査会が決めた賠償についての中間指針の合理性を認めています。判決が認めた賠償はこの指針に沿ったもので、財政や経済原理を優先させた指針に合理性などあり得ません。その上、半数が賠償を棄却され、不当極まりない判断です。
NAZEN 山陰 福間
by nazensanin
| 2017-03-26 14:00
山陰で原発再稼働阻止・全原発の即時廃止をめざす! 米子市道笑町3-24-202 tel・fax 0859-22-9908 福間育朗 090-4576-1161 gr5536qu6e359dre23nd@docomo.ne.jp
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