司法権力の暴虐を許さない!
関西電力高浜原発3・4号機について、運転差し止めを命じた大津地裁の仮処分を、大阪高裁は関電の抗告を認めて取り消す決定をしました。大阪高裁の山下郁夫裁判長は、新規制基準の合理性などを認め「安全性が欠如しているとは言えない」と判断し、再稼働に向けて即座に効力を持つ重い決定を下しました。大阪高裁は「安全」を主張する関電の書面や弁論を丸ごと追認し、新規制基準や避難計画など主な争点に「不合理な点はない」と結論付けています。415ページの決定文は、大部の文書で多角的で客観的な判断であるかのように装いながら、再稼働を急ぐ安倍政権や関電に徹頭徹尾寄り添う決定になっています。福島原発事故をなかったことにしようという策動に連動した極めて反動的な決定であり、絶対許すことはできません。
大津地裁の運転差し止め仮処分決定は、新規制基準に適合してもそれだけでは「安全性の主張立証は不十分」として、基準の妥当性などを関電に求めました。しかし大阪高裁の決定は新規制基準を「福島原発事故を踏まえ、地震や津波に対する安全性や重大事故対策の検討が重ねられている」と認定し「不合理とはいえない」と断定しています。高裁の決定はさらに「住民側が基準自体が合理性を欠くことを立証する必要がある」と、立証責任を住民に押し付けています。司法権力を背景にして、「立証できるもんなら、自分の力でやってみろ」と言っているに等しく、許しがたい反動的姿勢です。大阪高裁決定は新規制基準を全面的に評価し、白紙委任した内容となっています。
大津地裁は「福島原発事故を踏まえ常に危険性を見落としているとの立場に立つべき」として、原発に厳格な安全性を求めていました。これに対して大阪高裁決定は、科学技術の利用において「相対的な安全性が許容されている」として、「原発に絶対的安全性を要求するのは相当ではない」と言い切っています。そして、新規制基準が福島原発事故の教訓を踏まえた最新の科学的・技術的知見に基づいて策定されたと評価して、基準の合理性を強調しています。つまり、「規制委員会が新規制基準の審査に通ったとしても、安全が確保されているわけではないと言っているように、原発は科学技術の産物で事故は付き物である。だから、原発で事故が起こったとしても許容されるべきだ。」ということです。
大津地裁の仮処分は基準地震動について「断層調査が徹底的に行われず、安全上の余裕を取っているとはいえない」と断じました。これに対し大阪高裁は「合理性が検証された関係式が用いられ、断層の詳細な調査結果などをもとに策定されており、過小とはいえない」と完璧に関電の主張を評価し、まるで関電自身が著したような内容です。大阪高裁が言う「合理性が検証された関係式」とは、基準地震動の算定に用いる主に入倉・三宅式です。この計算式を適用した場合、地震の規模が他の計算式に比べ25〜30%になり、基準地震動が過小評価されると従来から指摘されています。こうした指摘は、熊本地震の地震動でも明確になり、つまり最新の知見でも実証されています。大阪高裁はこうした知見を全く無視したものです。
大阪高裁の抗告審では、住民側が熊本地震のように大きな揺れが連続して発生する恐れを主張したのに対し、高裁は「高浜原発で基準地震動規模の揺れが連続するとは考えられず、起きたとしても安全性は確保されている」と居直っています。大阪高裁決定は、「規制委員会の審査を通った原発は、安全性が確保されている」とする考え方で一貫しています。つまり、行政手続きを経ていれば原発の安全性が確保されているから、事故が起きたとしても大したことはないということです。避難計画についても同様です。高裁は避難計画は電力会社だけが担うものではないという理由で、規制対象から除外することを妥当としました。策定された避難計画について「内容は適切」とし、「周辺環境への放射性物質の異常な放出にいたることは想像しがたい」とまで言い放っています。
憲法は、三権の分立と裁判や裁判官の独立を規定しています。しかし大阪高裁の決定内容は、原発を再稼働させようとする行政権力の言い分をコピペしたものです。例えば、「新規制基準の考え方」という解説書を規制委員会が作成していますが、規制基準の合理性の詳述を避けた関電がこれを高裁に提出しました。高裁の決定は、この解説書を丸々引き写したものです。規制する側の行政機関が規制基準の正当性を訴えて作成した資料が、規制される側の関電の主張を擁護し補強する資料として使われたのです。怒りを通り越し、あきれ果てるばかりです。福島原発事故がなかったかのような、原発事故を容認するような高裁決定を絶対許すことはできません。
NAZEN 山陰 福間
大津地裁の運転差し止め仮処分決定は、新規制基準に適合してもそれだけでは「安全性の主張立証は不十分」として、基準の妥当性などを関電に求めました。しかし大阪高裁の決定は新規制基準を「福島原発事故を踏まえ、地震や津波に対する安全性や重大事故対策の検討が重ねられている」と認定し「不合理とはいえない」と断定しています。高裁の決定はさらに「住民側が基準自体が合理性を欠くことを立証する必要がある」と、立証責任を住民に押し付けています。司法権力を背景にして、「立証できるもんなら、自分の力でやってみろ」と言っているに等しく、許しがたい反動的姿勢です。大阪高裁決定は新規制基準を全面的に評価し、白紙委任した内容となっています。
大津地裁は「福島原発事故を踏まえ常に危険性を見落としているとの立場に立つべき」として、原発に厳格な安全性を求めていました。これに対して大阪高裁決定は、科学技術の利用において「相対的な安全性が許容されている」として、「原発に絶対的安全性を要求するのは相当ではない」と言い切っています。そして、新規制基準が福島原発事故の教訓を踏まえた最新の科学的・技術的知見に基づいて策定されたと評価して、基準の合理性を強調しています。つまり、「規制委員会が新規制基準の審査に通ったとしても、安全が確保されているわけではないと言っているように、原発は科学技術の産物で事故は付き物である。だから、原発で事故が起こったとしても許容されるべきだ。」ということです。
大津地裁の仮処分は基準地震動について「断層調査が徹底的に行われず、安全上の余裕を取っているとはいえない」と断じました。これに対し大阪高裁は「合理性が検証された関係式が用いられ、断層の詳細な調査結果などをもとに策定されており、過小とはいえない」と完璧に関電の主張を評価し、まるで関電自身が著したような内容です。大阪高裁が言う「合理性が検証された関係式」とは、基準地震動の算定に用いる主に入倉・三宅式です。この計算式を適用した場合、地震の規模が他の計算式に比べ25〜30%になり、基準地震動が過小評価されると従来から指摘されています。こうした指摘は、熊本地震の地震動でも明確になり、つまり最新の知見でも実証されています。大阪高裁はこうした知見を全く無視したものです。
大阪高裁の抗告審では、住民側が熊本地震のように大きな揺れが連続して発生する恐れを主張したのに対し、高裁は「高浜原発で基準地震動規模の揺れが連続するとは考えられず、起きたとしても安全性は確保されている」と居直っています。大阪高裁決定は、「規制委員会の審査を通った原発は、安全性が確保されている」とする考え方で一貫しています。つまり、行政手続きを経ていれば原発の安全性が確保されているから、事故が起きたとしても大したことはないということです。避難計画についても同様です。高裁は避難計画は電力会社だけが担うものではないという理由で、規制対象から除外することを妥当としました。策定された避難計画について「内容は適切」とし、「周辺環境への放射性物質の異常な放出にいたることは想像しがたい」とまで言い放っています。
憲法は、三権の分立と裁判や裁判官の独立を規定しています。しかし大阪高裁の決定内容は、原発を再稼働させようとする行政権力の言い分をコピペしたものです。例えば、「新規制基準の考え方」という解説書を規制委員会が作成していますが、規制基準の合理性の詳述を避けた関電がこれを高裁に提出しました。高裁の決定は、この解説書を丸々引き写したものです。規制する側の行政機関が規制基準の正当性を訴えて作成した資料が、規制される側の関電の主張を擁護し補強する資料として使われたのです。怒りを通り越し、あきれ果てるばかりです。福島原発事故がなかったかのような、原発事故を容認するような高裁決定を絶対許すことはできません。
NAZEN 山陰 福間
by nazensanin
| 2017-03-31 20:16
山陰で原発再稼働阻止・全原発の即時廃止をめざす! 米子市道笑町3-24-202 tel・fax 0859-22-9908 福間育朗 090-4576-1161 gr5536qu6e359dre23nd@docomo.ne.jp
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