大飯原発訴訟勝利で全原発廃炉への大波を作りだそう!
関西電力大飯原発の運転差し止めを求めた訴訟の判決が、5月21日福井地裁で言い渡されました。樋口英明裁判長は「大飯原発の安全技術と設備は脆弱なものと認めざるを得ない」として、運転の差し止めを命じました。2011年3月の福島第1原発事故後、原発の運転差し止めを求めた訴訟の判決は初めてのことです。ごく当たり前の正当な判決ですが、原発推進を追認するだけであった従来の判決に比べ、画期的な判決であることに間違いありません。
今回の訴訟は、大飯原発3・4号機(福井県おおい町)の運転差し止めを求めて、福井県の住民ら計189人が関西電力を相手取って提訴していました。今回の主な争点は、耐震設計の基準となる基準地震動は適切なのか、大地震の際に冷却機能が働くか、使用済み核燃料プールの放射能漏れ対策は十分かなどでした。福井地裁の判決は、これらの争点で関西電力の主張を全面的に否定するもので、原告完全勝利と言える判決であったと思います。
最大の争点である基準地震動については、700ガル(現在は856ガルに引き上げ)が適切と関西電力は主張しました。さらに、基準地震動の1.8倍の1260ガルに達しない限りメルトダウンに至らないとも関電は主張しました。これに対して判決は、「その規模の内陸地殻内地震は大飯原発で起きる危険がある」として関電の主張を退けました。
判決では、「1260ガル超の大地震発生を、我が国の地震学会が予知できたことは一度もない。大飯原発にこうした大地震が来ないとの、確実な科学的根拠に基づく想定は不可能だ。全国で四つの原発で5回にわたり、想定した地震動を越える地震が、この10年ほどで起きている。岩手宮城内陸地震では、4022ガルの地震さえ発生している。基準地震動を越える地震が大飯原発に来ないというのは、根拠のない楽観的見通しに過ぎない。」として関電の主張をはね除けています。
使用済み核燃料について「千本を越える使用済み核燃料が収納されているのは、格納容器のような堅牢な設備ではない。電源喪失から3日を経ずに冷却が困難になり、国の存続に関わるほどの被害を及ぼすに関わらず、むき出しに近い状態にある。」として、使用済み核燃料の危険性を訴えています。
大飯原発の稼働が電力の安定供給、コスト削減につながるとする関電の主張も退けています。判決では「多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの問題等を並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的に許されないと考える。」としています。
原発を稼働させないと、コストがかさんで多額の貿易赤字がでるとする関電の主張も完全否定しています。判決では「たとえ大飯原発の運転停止で多額の貿易赤字が出るとしても、国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻せなくなることが国富の喪失である。」と言い切っています。
原発の経済活動と憲法の位置づけについても、「原発は電力を生産するものであって、その稼働は憲法上は人格権の劣位に置かれるべきだ。」としています。憲法が保障する人格権の確保は、原発の稼働よりも優先されなければならないと訴えています。そして「原発事故はこの根元的な権利を極めて広く奪う可能性があり、具体的危険性が万が一でもあれば、運転の差し止めが認められるのは当然だ。」と判決は述べています。
さらに、原発の危険性が福島原発事故で明らかになったとして、「大飯原発でも福島のような事態を招く危険性があるかが判断の対象とされるべきで、福島原発事故後、この判断を避けるのは裁判所に課された最も重要な責務を放棄するに等しい。」として、裁判所の責務にも言及しています。
判決の主文で、大飯原発から250km圏内に居住する166人の原告の請求を認め、250km圏外の原告23人の請求を棄却しています。つまり、250km圏内の原告のみに原告の適格性を認定しています。大飯原発の250km圏内といえば、松江市がぎりぎり含まれますので、かなり広い範囲だと思われます。この250kmを島根原発に当てはめると、中四国がほとんどその範囲に入り、関西地方の一部まで含まれます。これまでの最高裁判決では、最高58km圏内の原告しか原告適格が認められていませんでしたので、これに比べれば広がったと言えます。しかし、福島原発事故の被害は、高い放射線量による健康被害だけではありません。福島原発事故の後、被害補償や除染など事故の後始末に国費を費やす事態になることも明らかになっています。つまり、その負担は広く国民全体で負うことになります。であれば、原告の適格性を居住している範囲で線引きする合理性はありません。250km内の原告しか適格性を認めない判決に断じて納得がいきません。
この点を除けば、従来にない画期的な判決であることは疑いがないところです。島根原発3号機の運転差し止め訴訟の第3回公判が26日に行われます。大飯原発判決に続いて、圧倒的勝訴を勝ち取りましょう。
NAZEN 山陰 福間
今回の訴訟は、大飯原発3・4号機(福井県おおい町)の運転差し止めを求めて、福井県の住民ら計189人が関西電力を相手取って提訴していました。今回の主な争点は、耐震設計の基準となる基準地震動は適切なのか、大地震の際に冷却機能が働くか、使用済み核燃料プールの放射能漏れ対策は十分かなどでした。福井地裁の判決は、これらの争点で関西電力の主張を全面的に否定するもので、原告完全勝利と言える判決であったと思います。
最大の争点である基準地震動については、700ガル(現在は856ガルに引き上げ)が適切と関西電力は主張しました。さらに、基準地震動の1.8倍の1260ガルに達しない限りメルトダウンに至らないとも関電は主張しました。これに対して判決は、「その規模の内陸地殻内地震は大飯原発で起きる危険がある」として関電の主張を退けました。
判決では、「1260ガル超の大地震発生を、我が国の地震学会が予知できたことは一度もない。大飯原発にこうした大地震が来ないとの、確実な科学的根拠に基づく想定は不可能だ。全国で四つの原発で5回にわたり、想定した地震動を越える地震が、この10年ほどで起きている。岩手宮城内陸地震では、4022ガルの地震さえ発生している。基準地震動を越える地震が大飯原発に来ないというのは、根拠のない楽観的見通しに過ぎない。」として関電の主張をはね除けています。
使用済み核燃料について「千本を越える使用済み核燃料が収納されているのは、格納容器のような堅牢な設備ではない。電源喪失から3日を経ずに冷却が困難になり、国の存続に関わるほどの被害を及ぼすに関わらず、むき出しに近い状態にある。」として、使用済み核燃料の危険性を訴えています。
大飯原発の稼働が電力の安定供給、コスト削減につながるとする関電の主張も退けています。判決では「多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの問題等を並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的に許されないと考える。」としています。
原発を稼働させないと、コストがかさんで多額の貿易赤字がでるとする関電の主張も完全否定しています。判決では「たとえ大飯原発の運転停止で多額の貿易赤字が出るとしても、国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻せなくなることが国富の喪失である。」と言い切っています。
原発の経済活動と憲法の位置づけについても、「原発は電力を生産するものであって、その稼働は憲法上は人格権の劣位に置かれるべきだ。」としています。憲法が保障する人格権の確保は、原発の稼働よりも優先されなければならないと訴えています。そして「原発事故はこの根元的な権利を極めて広く奪う可能性があり、具体的危険性が万が一でもあれば、運転の差し止めが認められるのは当然だ。」と判決は述べています。
さらに、原発の危険性が福島原発事故で明らかになったとして、「大飯原発でも福島のような事態を招く危険性があるかが判断の対象とされるべきで、福島原発事故後、この判断を避けるのは裁判所に課された最も重要な責務を放棄するに等しい。」として、裁判所の責務にも言及しています。
判決の主文で、大飯原発から250km圏内に居住する166人の原告の請求を認め、250km圏外の原告23人の請求を棄却しています。つまり、250km圏内の原告のみに原告の適格性を認定しています。大飯原発の250km圏内といえば、松江市がぎりぎり含まれますので、かなり広い範囲だと思われます。この250kmを島根原発に当てはめると、中四国がほとんどその範囲に入り、関西地方の一部まで含まれます。これまでの最高裁判決では、最高58km圏内の原告しか原告適格が認められていませんでしたので、これに比べれば広がったと言えます。しかし、福島原発事故の被害は、高い放射線量による健康被害だけではありません。福島原発事故の後、被害補償や除染など事故の後始末に国費を費やす事態になることも明らかになっています。つまり、その負担は広く国民全体で負うことになります。であれば、原告の適格性を居住している範囲で線引きする合理性はありません。250km内の原告しか適格性を認めない判決に断じて納得がいきません。
この点を除けば、従来にない画期的な判決であることは疑いがないところです。島根原発3号機の運転差し止め訴訟の第3回公判が26日に行われます。大飯原発判決に続いて、圧倒的勝訴を勝ち取りましょう。
NAZEN 山陰 福間
by nazensanin
| 2014-05-22 20:23
山陰で原発再稼働阻止・全原発の即時廃止をめざす! 米子市道笑町3-24-202 tel・fax 0859-22-9908 福間育朗 090-4576-1161 gr5536qu6e359dre23nd@docomo.ne.jp
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