福島原発事故の責任が東電と国あるのは明らかだ!
福島第1原発原発の刑事責任を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東京電力の元会長ら旧経営陣3人の公判が東京地裁で始まりました。明らかな人災事故である福島原発事故が起こってから6年以上経過しましたが、誰一人として刑事責任を問われていません。福島の住民などが検察に東電を告訴していましたが、2013年東京地検は不起訴処分を決定しました。この時、東京地検は公安部が対応しました。つまり原発に関することは、社会秩序や国体維持に関わることだとの司法権力の意思の表れです。しかし市民が参加する検察審査会が、2回にわたる起訴相当の決議をし、東電旧幹部が強制起訴されることになりました。
東京地裁で行われた公判では、勝俣元会長、武黒元副社長、武藤元副社長の三名が被告として強制起訴されています。起訴状によると、三人は福島原発が巨大な津波に襲われ、重大事故が発生することを予見しながら適切な安全対策を取らなかったとしています。そして、東日本大震災に伴う津波で福島原発が電源喪失したため、近隣病院の入院患者ら44人に避難を強いて死亡させたとの趣旨になっています。公判は、東電が
08年3月に最大15.7mの津波が福島原発を襲うとの計算結果を得た後、三人が津波と事故の危険性を予見できたことを裁判所が認定するかどうかが最大の焦点となります。また、対策を講じていれば事故が防止できたかどうかも焦点になります。
検察官役の指定弁護士は冒頭陳述で、勝俣被告は意思決定に関わる会議に出席していて、実質的な指示や判断を行い、武黒、武藤両被告は補佐する立場だったと指摘しています。その上で、三人は原発の安全確保のため最終的な義務と責任を負っていたと位置付けています。弁護側冒頭陳述では、3万人を超えるマンモス企業である東電では会長は最高経営層ではなく、業務執行権限や分掌権限もなかったとしています。しかし、勝俣元会長は02〜08年には社長を務め、福島原発事故当時は会長であり、代表取締役です。代表取締役に執行権限がないはずがなく、元会長に業務執行権限がないとする弁護側主張に説得力は皆無です。
地震予測を含めた調査研究をする国の機関である地震調査研究推進本部は、02年7月重大な予測を公表します。それによると、三陸沖北部から房総沖でマグニチュード8.2前後の津波を伴った巨大地震が発生する可能性があるという長期評価を公表しました。06年9月原子力安全委員会は、原発の耐震設計審査の指針を改定しました。原子力安全・保安院は各電力会社に対して、この指針に照らした安定性の評価を実施し、報告を求める「耐震バックチェック」を指示しました。08年に長期評価に基づく津波を検討した子会社が、福島原発を襲う津波は最大で15.7mとなる計算結果を明らかにします。こうした調査結果の報告を受け、3人の被告は問題点を具体的に共有していたと、公判で検察官役の指定弁護士側は明確に主張しました。
標高10mにある福島第1原発の敷地を超える15mを超す津波に襲われるという子会社の報告があったにもかかわらず、武藤元副社長は耐震バックチェックに基づく長期評価を採用せず、従来の土木学会の評価技術に基づいた耐震バックチェックを行うとの方針を決めます。勝俣元会長が09年に出席した会議で、耐震バックチェックをめぐる議論が行われています。議論の中で、「(福島第1原発に)もっと大きな14m程度の津波が来る可能性があるとする意見もある」との発言を聞いています。こうした事実経過を根拠にして、「被告3人は津波によって電源を喪失するなどして、深刻な事故が起こることを予見できた」と指定弁護士側は主張しています。指定弁護士側の主張は至極当然で、説得力があります。
被告弁護側は「予見可能性はもとより、予見義務、結果回避可能性、結果回避義務、因果関係のいずれも認められない。事故当時は法令に基づいて安全対策がされていた」として、被告3人の無罪を主張しています。被告弁護側は「02年に地震調査研究推進本部が示した長期評価は、予見可能性を生じさせるほどではなく、長期評価を基にさらに安全対策をすることは不可能である」と主張しています。被告弁護側主張は「予見可能性がないのだから、巨額な経費を費やすことはできない」と人命無視を居直っているに過ぎません。「予見可能性がない」としながら、東電が標高20mの防潮堤建設の設計図を作成していたとして、指定弁護士が図面を提示しました。防潮堤建設は実現しませんでしたが、「運転を停止すれば事故は防げた」と指定弁護士は主張します。
被告弁護士側は「3・11の地震による津波は、全く想定されていなかった巨大津波だった」と陳述しています。「安全神話」にどっぷり浸かり、予想外のことなど想定したくなかったということです。しかし様々な客観的証拠によって、福島原発を襲った津波は予見できたことは明らかで、東電も防潮堤の設計図を用意していたことを指定弁護士が暴露しています。しかし結局、津波対策を取ることはありませんでした。07年に起きた中越沖地震によって、柏崎刈羽原発の使用済み核燃料プールから水があふれてしまいます。同原発の安全対策費だけで2千億円も費やし、東電は1千5百億円の純損失を計上して
28年ぶりの赤字会計になります。巨額の経費がかかる福島原発の防潮堤も、株主や会計処理を優先させて、結局建設されることはありませんでした。
JR西日本の尼崎事故で強制起訴されたJR西日本歴代3社長について、最高裁は先月上告を棄却しました。これによって、業務上過失致死傷罪に問われた3社長を無罪とした下級審の判決が確定しました。巨大資本の防波堤として市民の前に立ちふさがる司法権力は、またしても許しがたい暴挙を犯しました。東電幹部の強制起訴も、国策である原発を推進する巨大資本として、また資本を国に掌握された国策会社としての東電を相手にして、さらに高い障壁となって立ちふさがります。しかし、正義は住民側にありますので、何としても勝利しなければなりません。また、闘う相手は東電だけでなく、最終的に打倒すべきは原発を維持する国家権力です。そして、闘いを法廷だけに止めることなく、街頭、労組、職場などに拡散させなければなりません。
共に頑張りましょう
NAZEN 山陰 福間
東京地裁で行われた公判では、勝俣元会長、武黒元副社長、武藤元副社長の三名が被告として強制起訴されています。起訴状によると、三人は福島原発が巨大な津波に襲われ、重大事故が発生することを予見しながら適切な安全対策を取らなかったとしています。そして、東日本大震災に伴う津波で福島原発が電源喪失したため、近隣病院の入院患者ら44人に避難を強いて死亡させたとの趣旨になっています。公判は、東電が
08年3月に最大15.7mの津波が福島原発を襲うとの計算結果を得た後、三人が津波と事故の危険性を予見できたことを裁判所が認定するかどうかが最大の焦点となります。また、対策を講じていれば事故が防止できたかどうかも焦点になります。
検察官役の指定弁護士は冒頭陳述で、勝俣被告は意思決定に関わる会議に出席していて、実質的な指示や判断を行い、武黒、武藤両被告は補佐する立場だったと指摘しています。その上で、三人は原発の安全確保のため最終的な義務と責任を負っていたと位置付けています。弁護側冒頭陳述では、3万人を超えるマンモス企業である東電では会長は最高経営層ではなく、業務執行権限や分掌権限もなかったとしています。しかし、勝俣元会長は02〜08年には社長を務め、福島原発事故当時は会長であり、代表取締役です。代表取締役に執行権限がないはずがなく、元会長に業務執行権限がないとする弁護側主張に説得力は皆無です。
地震予測を含めた調査研究をする国の機関である地震調査研究推進本部は、02年7月重大な予測を公表します。それによると、三陸沖北部から房総沖でマグニチュード8.2前後の津波を伴った巨大地震が発生する可能性があるという長期評価を公表しました。06年9月原子力安全委員会は、原発の耐震設計審査の指針を改定しました。原子力安全・保安院は各電力会社に対して、この指針に照らした安定性の評価を実施し、報告を求める「耐震バックチェック」を指示しました。08年に長期評価に基づく津波を検討した子会社が、福島原発を襲う津波は最大で15.7mとなる計算結果を明らかにします。こうした調査結果の報告を受け、3人の被告は問題点を具体的に共有していたと、公判で検察官役の指定弁護士側は明確に主張しました。
標高10mにある福島第1原発の敷地を超える15mを超す津波に襲われるという子会社の報告があったにもかかわらず、武藤元副社長は耐震バックチェックに基づく長期評価を採用せず、従来の土木学会の評価技術に基づいた耐震バックチェックを行うとの方針を決めます。勝俣元会長が09年に出席した会議で、耐震バックチェックをめぐる議論が行われています。議論の中で、「(福島第1原発に)もっと大きな14m程度の津波が来る可能性があるとする意見もある」との発言を聞いています。こうした事実経過を根拠にして、「被告3人は津波によって電源を喪失するなどして、深刻な事故が起こることを予見できた」と指定弁護士側は主張しています。指定弁護士側の主張は至極当然で、説得力があります。
被告弁護側は「予見可能性はもとより、予見義務、結果回避可能性、結果回避義務、因果関係のいずれも認められない。事故当時は法令に基づいて安全対策がされていた」として、被告3人の無罪を主張しています。被告弁護側は「02年に地震調査研究推進本部が示した長期評価は、予見可能性を生じさせるほどではなく、長期評価を基にさらに安全対策をすることは不可能である」と主張しています。被告弁護側主張は「予見可能性がないのだから、巨額な経費を費やすことはできない」と人命無視を居直っているに過ぎません。「予見可能性がない」としながら、東電が標高20mの防潮堤建設の設計図を作成していたとして、指定弁護士が図面を提示しました。防潮堤建設は実現しませんでしたが、「運転を停止すれば事故は防げた」と指定弁護士は主張します。
被告弁護士側は「3・11の地震による津波は、全く想定されていなかった巨大津波だった」と陳述しています。「安全神話」にどっぷり浸かり、予想外のことなど想定したくなかったということです。しかし様々な客観的証拠によって、福島原発を襲った津波は予見できたことは明らかで、東電も防潮堤の設計図を用意していたことを指定弁護士が暴露しています。しかし結局、津波対策を取ることはありませんでした。07年に起きた中越沖地震によって、柏崎刈羽原発の使用済み核燃料プールから水があふれてしまいます。同原発の安全対策費だけで2千億円も費やし、東電は1千5百億円の純損失を計上して
28年ぶりの赤字会計になります。巨額の経費がかかる福島原発の防潮堤も、株主や会計処理を優先させて、結局建設されることはありませんでした。
JR西日本の尼崎事故で強制起訴されたJR西日本歴代3社長について、最高裁は先月上告を棄却しました。これによって、業務上過失致死傷罪に問われた3社長を無罪とした下級審の判決が確定しました。巨大資本の防波堤として市民の前に立ちふさがる司法権力は、またしても許しがたい暴挙を犯しました。東電幹部の強制起訴も、国策である原発を推進する巨大資本として、また資本を国に掌握された国策会社としての東電を相手にして、さらに高い障壁となって立ちふさがります。しかし、正義は住民側にありますので、何としても勝利しなければなりません。また、闘う相手は東電だけでなく、最終的に打倒すべきは原発を維持する国家権力です。そして、闘いを法廷だけに止めることなく、街頭、労組、職場などに拡散させなければなりません。
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NAZEN 山陰 福間
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by nazensanin
| 2017-07-03 20:08
原子力研究開発機構を解体せよ!
日本原子力研究開発機構大洗研究開発センター(茨城県大洗町)で、作業員が大量内部被ばくする事故が発生しました。センターの燃料研究棟で、2人の原子力機構職員と3人の協力会社職員に放射性物質が降りかかり、全員が内部被ばくしました。うち1人の肺からは、2万2千ベクレルものプルトニウム239が検出されています。他の作業員も最大で1万4千〜5千6百ベクレルを検出し、国内最大クラスの内部被ばく事故となっています。5人が入院した医療施設の関係者は「内部被ばくで発がんのリスクが上がることは科学的にはっきりしている」として「(2万2千ベクレルは)初めて見る数字だ」と言っています。「もんじゅ」などで事故を頻発し、それでも「常陽」を稼働させようとする原子力機構は解体しなければなりません。
原子力機構の大洗研究開発センターは、廃炉が決定した高速増殖炉もんじゅの燃料開発をするための施設で、研究棟も廃止が決定しています。研究棟で核燃料物質の点検作業中に事故が起こりました。核燃料物質が入ったポリエチレン容器を収めた金属製容器のふたを開けた時、ポリ容器を二重に包んでいたビニールが破裂したと報道されています。作業員は鼻から下を覆うマスクを着けていたとのことですが、飛散した粉末状のプルトニウムを吸い込んで内部被ばくしてしまいました。貯蔵容器は1991年に封印され、以降26年間未開封で置き去りにされていました。91年には「もんじゅ」が試運転を開始していますが、それ以来核燃料物質が余りにずさんな管理が行われていたことになります。
原子力規制委員会は今年2月、原子力機構の複数の施設で核燃料物質が保管すべきでない場所に保管されていたとして、機構に対して改善を求めています。被ばくした作業員は、こうした管理が不適切な核燃料物質の保管場所を探していたようです。原子力機構が適切に保管していれば事故は避けられた可能性が高く、事故はずさんな管理の「後始末」で起きたということです。また、作業員を放射性物質から防御する原子力機構の態勢も全くずさんなものです。点検作業の手順書では、密閉されていない作業台を使用し、鼻と口だけを覆うマスクを着用すると定められています。原子力機構は、ビニール袋が破裂して放射性物質が飛散することなど想定せず、作業員を危険にさらしたことになります。
「安全」など眼中にない原子力機構の姿勢は、昨日や今日始まったことではなく、いわば機構の遺伝子といえるものです。「原子力の専門家集団」を自任する原子力機構ですが、安全管理についてこれまで幾度となく問題を起こし、規制委員会から安全軽視の姿勢を繰り返し指摘されてきています。機構が運転するもんじゅではナトリウム漏れだけでなく、約1万件の点検漏れが発覚しています。その後も新たな点検漏れが次々と明らかとなり、規制委員会は「資質なし」とし、運転を同機構に代わる適当な主体を示すよう勧告しています。使用済み核燃料再処理施設でも、放射性廃棄物を詰めた大量のドラム缶が雑然と積み上げられ、中身が分からない容器さえあるという恐ろしいありさまです。
なぜ密閉式の施設で点検作業を行わなかったのか、なぜ全面マスクを着用しなかったのかなどについて原子力機構は、2週間以上経過した今も「調査中」を繰り返しています。また事故後の除染が不完全で、医療施設で除染が行われるまでプルトニウム239が付着していたことも判明しています。無防備に等しい状況で放射性物質を扱わせ、作業員延いては住民の命を甚だしく軽視する原子力機構ですが、高速増殖炉「常陽」の再稼働に未だ執念を燃やしています。実験炉の常陽は14万kwの熱出力がありますが、原子力機構は避難計画を5km圏内で済ませて早期の再稼働を行うため、10万kwとして新規制基準適合審査を規制委員会に申請しました。規制委員会に申請を却下されましたが、原子力機構は再稼働をあきらめていません。
人命を無視し、ずさん極まる管理しかできない原子力機構は直ちに解体するしかありません。核燃料サイクルを維持するため、常陽を運転しようとする国策を絶対許してなりません。
NAZEN 山陰 福間
原子力機構の大洗研究開発センターは、廃炉が決定した高速増殖炉もんじゅの燃料開発をするための施設で、研究棟も廃止が決定しています。研究棟で核燃料物質の点検作業中に事故が起こりました。核燃料物質が入ったポリエチレン容器を収めた金属製容器のふたを開けた時、ポリ容器を二重に包んでいたビニールが破裂したと報道されています。作業員は鼻から下を覆うマスクを着けていたとのことですが、飛散した粉末状のプルトニウムを吸い込んで内部被ばくしてしまいました。貯蔵容器は1991年に封印され、以降26年間未開封で置き去りにされていました。91年には「もんじゅ」が試運転を開始していますが、それ以来核燃料物質が余りにずさんな管理が行われていたことになります。
原子力規制委員会は今年2月、原子力機構の複数の施設で核燃料物質が保管すべきでない場所に保管されていたとして、機構に対して改善を求めています。被ばくした作業員は、こうした管理が不適切な核燃料物質の保管場所を探していたようです。原子力機構が適切に保管していれば事故は避けられた可能性が高く、事故はずさんな管理の「後始末」で起きたということです。また、作業員を放射性物質から防御する原子力機構の態勢も全くずさんなものです。点検作業の手順書では、密閉されていない作業台を使用し、鼻と口だけを覆うマスクを着用すると定められています。原子力機構は、ビニール袋が破裂して放射性物質が飛散することなど想定せず、作業員を危険にさらしたことになります。
「安全」など眼中にない原子力機構の姿勢は、昨日や今日始まったことではなく、いわば機構の遺伝子といえるものです。「原子力の専門家集団」を自任する原子力機構ですが、安全管理についてこれまで幾度となく問題を起こし、規制委員会から安全軽視の姿勢を繰り返し指摘されてきています。機構が運転するもんじゅではナトリウム漏れだけでなく、約1万件の点検漏れが発覚しています。その後も新たな点検漏れが次々と明らかとなり、規制委員会は「資質なし」とし、運転を同機構に代わる適当な主体を示すよう勧告しています。使用済み核燃料再処理施設でも、放射性廃棄物を詰めた大量のドラム缶が雑然と積み上げられ、中身が分からない容器さえあるという恐ろしいありさまです。
なぜ密閉式の施設で点検作業を行わなかったのか、なぜ全面マスクを着用しなかったのかなどについて原子力機構は、2週間以上経過した今も「調査中」を繰り返しています。また事故後の除染が不完全で、医療施設で除染が行われるまでプルトニウム239が付着していたことも判明しています。無防備に等しい状況で放射性物質を扱わせ、作業員延いては住民の命を甚だしく軽視する原子力機構ですが、高速増殖炉「常陽」の再稼働に未だ執念を燃やしています。実験炉の常陽は14万kwの熱出力がありますが、原子力機構は避難計画を5km圏内で済ませて早期の再稼働を行うため、10万kwとして新規制基準適合審査を規制委員会に申請しました。規制委員会に申請を却下されましたが、原子力機構は再稼働をあきらめていません。
人命を無視し、ずさん極まる管理しかできない原子力機構は直ちに解体するしかありません。核燃料サイクルを維持するため、常陽を運転しようとする国策を絶対許してなりません。
NAZEN 山陰 福間
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by nazensanin
| 2017-06-25 19:46
玄海原発再稼働絶対反対!
九州電力玄海原発(佐賀県)の運転差し止めを住民が求めた仮処分に対して、佐賀地裁は却下する決定をしました。住民の安全を蔑ろにしながら九州電力の主張を丸のみにした決定で、絶対に認めることはできません。九州電力は、玄海原発3・4号機の再稼働に向けた新規制基準適合審査の申請を行っていました。原子力規制委員会は1月、3・4号機の合格証である審査書を決定し、再稼働にお墨付きを与えました。その後、保安規定の審査や地元自治体の同意手続きを経て、九電は今年秋にも再稼働を目論んでいます。九電や玄海原発と利益共同体にある佐賀県と玄海町は再稼働に同意していますが、周辺の自治体や住民の多くが再稼働に反対しています。玄海原発の再稼働を絶対に許してなりません。
玄海原発の運転差し止めを申し立てた仮処分却下の決定をした佐賀地裁の立川裁判長は、「新規制基準には合理性がある」とする趣旨の決定理由を述べています。最大の争点となったのが、新規制基準における耐震設計の目安となる地震の揺れ「基準地震動」についてです。却下の決定理由では、「複数の手法を併用して最も厳しい評価結果を採用するのを想定し、最新の科学的、技術的知見を踏まえることなどが明確に求められるなど、合理性が裏付けられる」と判断しています。九電の主張を全く疑うことなく、原子力ムラの言い分のコピペであり、怒りがこみ上げます。規制委員会の審査についても、「適正さを欠く部分は認めにくく、厳格かつ詳細に行われた」としています。
24回行われた審尋の場で住民側は、耐震安定性評価の危うささを最重要主題として主張し続けました。住民たちは、現在行われている入倉・三宅式に基づいて算定される基準地震動は、実際の地震動を過小評価すると主張しました。その上で、地震の規模を算出するには「武村式」を、地震動の大きさは「片岡他の式」を使用すべきであることを具体的に指摘しています。住民が指摘した入倉・三宅式の「過小評価」については、熊本地震において実証されています。また、入倉・三宅式を垂直な断層面を持つ活断層に適用すると、震源や基準地震動の規模が過小になり、危険極まりないと多くの専門家が主張しています。これに対して九電は「十分安全側に評価している」と説明しただけです。
住民側が主張したもう一つの点が、配管損傷による深刻事故の危険性です。玄海原発2号機はかつて、放射性物質を含んだ一次冷却水が流れる配管に深く長いひび割れが生じ、長年検出されず放置されてきましたが、念のための検査で偶然発見されています。住民側は、3・4号機の配管でも同様の劣化が起こっていると主張しています。これに対して九電は、しぶしぶ検査内容に関する陳述書を出してきました。陳述書によると、重要なクラス1機器においても10年で25%ずつ検査するとしています。つまり、全体を検査するのに40年かかるということです。また、超音波探傷試験は一部しか行わないことも明らかになっています。九電の姿勢は「地震が起きたり、漏れたりしなければ分からない」という無責任極まりないものです。
福島原発事故の教訓のかけらもないのは九電だけではなく、裁判所も負けてはいません。仮処分却下の決定で、新規制基準について「福島原発事故の教訓を踏まえ、最新の科学的知見を反映させている」として、規制委員会の審議過程に不合理な点はないとしています。福岡高裁宮崎支部(川内原発)や大阪高裁(高浜原発)が示した、住民無視の司法枠組みを踏襲して「新基準は合理性がある」と切る捨てています。基準地震動に関しても、九電が地質を調査し、地域に合った計算式を用いて算出したと認定しています。「過去の地震の観測結果とも整合している」として、耐震安定性に問題ないと結論付けています。熊本地震については、見解が定まっていないとして明確な判断をしていません。
玄海原発の立地自治体である玄海町の岸本町長は、自らのファミリー企業「岸本組」を使って原発マネー独占を図ってきたことで知られています。九電が発注する玄海原発関連のマネーが、岸本組にそして町長に流入しています。また玄海町役場には、九電社員が常駐しています。玄海町が九電と癒着というよりも、九電と完全に一体化しているというのが実態です。さらに、プルサーマル発電に関する県主催の討論会で九電が「仕込み質問」したことや、原発についての番組で「やらせメール」が発覚しています。こうした世論操作は、九電と密着した関係にあった古川前知事の姿勢が影響しています。自治体の首長が原発行政を私物化し、選挙勝利を確実にしたり利権を確保するために、九電と一体化した構図が暴露されています。
佐賀県と玄海町が玄海原発の再稼働を同意したとは言え、周辺の自治体は反対の意向を表明しています。伊万里市長は、フィルターベントの設置が5年間も猶予されていること、国の原発政策が福島事故後も変わってはいないことなどを問題視し、再稼働に反対しています。平戸市長と壱岐市も避難計画の不備などを理由に反対しています。玄海原発の再稼働に関する毎日新聞のアンケート調査によれば、玄海地域の自治体の
25%が反対で、賛成の12.5%を圧倒しています。さらに再稼働に同意する範囲に関しては、30km圏内の自治体が37.5%で、立地自治体の12.5%を大きく引き離しています。つまり、玄海原発の再稼働には圧倒的多数が反対しています。玄海原発3号機は、危険性が格段に増すプルサーマル発電が行われます。絶対再稼働させてはなりません。
NAZEN 山陰 福間
玄海原発の運転差し止めを申し立てた仮処分却下の決定をした佐賀地裁の立川裁判長は、「新規制基準には合理性がある」とする趣旨の決定理由を述べています。最大の争点となったのが、新規制基準における耐震設計の目安となる地震の揺れ「基準地震動」についてです。却下の決定理由では、「複数の手法を併用して最も厳しい評価結果を採用するのを想定し、最新の科学的、技術的知見を踏まえることなどが明確に求められるなど、合理性が裏付けられる」と判断しています。九電の主張を全く疑うことなく、原子力ムラの言い分のコピペであり、怒りがこみ上げます。規制委員会の審査についても、「適正さを欠く部分は認めにくく、厳格かつ詳細に行われた」としています。
24回行われた審尋の場で住民側は、耐震安定性評価の危うささを最重要主題として主張し続けました。住民たちは、現在行われている入倉・三宅式に基づいて算定される基準地震動は、実際の地震動を過小評価すると主張しました。その上で、地震の規模を算出するには「武村式」を、地震動の大きさは「片岡他の式」を使用すべきであることを具体的に指摘しています。住民が指摘した入倉・三宅式の「過小評価」については、熊本地震において実証されています。また、入倉・三宅式を垂直な断層面を持つ活断層に適用すると、震源や基準地震動の規模が過小になり、危険極まりないと多くの専門家が主張しています。これに対して九電は「十分安全側に評価している」と説明しただけです。
住民側が主張したもう一つの点が、配管損傷による深刻事故の危険性です。玄海原発2号機はかつて、放射性物質を含んだ一次冷却水が流れる配管に深く長いひび割れが生じ、長年検出されず放置されてきましたが、念のための検査で偶然発見されています。住民側は、3・4号機の配管でも同様の劣化が起こっていると主張しています。これに対して九電は、しぶしぶ検査内容に関する陳述書を出してきました。陳述書によると、重要なクラス1機器においても10年で25%ずつ検査するとしています。つまり、全体を検査するのに40年かかるということです。また、超音波探傷試験は一部しか行わないことも明らかになっています。九電の姿勢は「地震が起きたり、漏れたりしなければ分からない」という無責任極まりないものです。
福島原発事故の教訓のかけらもないのは九電だけではなく、裁判所も負けてはいません。仮処分却下の決定で、新規制基準について「福島原発事故の教訓を踏まえ、最新の科学的知見を反映させている」として、規制委員会の審議過程に不合理な点はないとしています。福岡高裁宮崎支部(川内原発)や大阪高裁(高浜原発)が示した、住民無視の司法枠組みを踏襲して「新基準は合理性がある」と切る捨てています。基準地震動に関しても、九電が地質を調査し、地域に合った計算式を用いて算出したと認定しています。「過去の地震の観測結果とも整合している」として、耐震安定性に問題ないと結論付けています。熊本地震については、見解が定まっていないとして明確な判断をしていません。
玄海原発の立地自治体である玄海町の岸本町長は、自らのファミリー企業「岸本組」を使って原発マネー独占を図ってきたことで知られています。九電が発注する玄海原発関連のマネーが、岸本組にそして町長に流入しています。また玄海町役場には、九電社員が常駐しています。玄海町が九電と癒着というよりも、九電と完全に一体化しているというのが実態です。さらに、プルサーマル発電に関する県主催の討論会で九電が「仕込み質問」したことや、原発についての番組で「やらせメール」が発覚しています。こうした世論操作は、九電と密着した関係にあった古川前知事の姿勢が影響しています。自治体の首長が原発行政を私物化し、選挙勝利を確実にしたり利権を確保するために、九電と一体化した構図が暴露されています。
佐賀県と玄海町が玄海原発の再稼働を同意したとは言え、周辺の自治体は反対の意向を表明しています。伊万里市長は、フィルターベントの設置が5年間も猶予されていること、国の原発政策が福島事故後も変わってはいないことなどを問題視し、再稼働に反対しています。平戸市長と壱岐市も避難計画の不備などを理由に反対しています。玄海原発の再稼働に関する毎日新聞のアンケート調査によれば、玄海地域の自治体の
25%が反対で、賛成の12.5%を圧倒しています。さらに再稼働に同意する範囲に関しては、30km圏内の自治体が37.5%で、立地自治体の12.5%を大きく引き離しています。つまり、玄海原発の再稼働には圧倒的多数が反対しています。玄海原発3号機は、危険性が格段に増すプルサーマル発電が行われます。絶対再稼働させてはなりません。
NAZEN 山陰 福間
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by nazensanin
| 2017-06-18 23:08
日印原子力協定承認絶対反対!
インドへの原発輸出に道を開く日印原子力協定の承認案が衆参両院を通過しました。日印原子力協定締結は、NPT(核拡散防止条約)に未加盟で核保有国であるインドに原発や核技術を輸出して、さらなる核開発に手を貸す行為であり絶対反対です。協定締結は、国内では核燃料サイクルが破綻し、原発の新設や増設が困難な状況で、東芝、三菱、日立などの原発企業が窮地に陥るなか、インドなど国外への輸出で活路を見いだそうとした結果です。そして、協定によってNPT未加盟であっても事実上核保有国と認め、高速鉄道などインフラ輸出を有利に進めようとしています。さらに日印原子力協定は、インドに核技術を提供することによって、隣接する核大国中国「封じ込め」政策の一環です。
インドは、主に1960〜70年代の中国とパキスタンとの戦争を経て、74年初めて核実験を行います。96年に国連で包括的核実験禁止条約(CTBT)が採択されたにもかかわらず、98年には5回の核実験を強行しています。数日後には、戦火を交えたパキスタンが核実験を行っています。インドを擁護するつもりはありませんが、インドの核開発は核兵器国の思惑が大きな影響を与えています。パキスタンを支援する核兵器国中国と国境問題などで対立し、非同盟中立のインドをロシアが支援するしたのに対し、アメリカはパキスタンにてこ入れしていました。そもそもインドとパキスタンはイギリスが植民地として収奪したのですから、独立したインドとパキスタンの戦争や核開発の責任があります。
とはいえ、現在のインドは自らが人類に対して責任を負わなければならない核兵器大国です。インドは約
100発の核兵器を所有し、さらに核分裂物質の生産を増加させていて、短期間で質と量を拡大させる状況にあります。また、核搭載爆撃機と弾道ミサイルや核搭載可能な短・中距離ミサイルも保有しています。そして、 弾道ミサイル搭載潜水艦4隻の建造を計画しています。このように堂々とした核兵器大国のインドですが、NPTは批准していません。NPTが、米露英仏中の核兵器国の権益を保護する排他的で不平等な特質を持つ条約であることは間違いありません。しかし核が拡散している現状で、NPT未加盟で独自に核開発する正当性などあるはずがなく、人類に対する挑戦に他ありません。
74年のインド核実験を契機として、兵器転用が可能となる原子力技術の輸出に制限が必要だとする協定が結ばれます。協定加盟国でNSG(原子力供給グループ)が組織化され、現在50カ国ほどの国で構成されています。しかし、2006年米国議会はインドと原発技術の取引が認められるよう法律を改定します。そして2008年のNSG会議で、NPTに調印していない国との原子力関連の貿易を禁じる規定からインドを無条件例外とすることで合意します。合意に至った裏には、政治的、軍事的世界戦略に基づいた米国の強引な工作があったことは明らかです。NPTの規定によって核削減と核拡散防止が義務付けられている米国が、NPT空洞化を先導していました。
日本とインドとの原子力協定も、NPTをさらに空洞化させる内容です。「核実験した場合協力停止」という規定は、内政干渉を主張するインドに押しきられて協定本文には明記されず、関連文書にその趣旨が盛り込まれただけです。またインドが核実験した場合、他国への対抗措置かどうか日本が考慮をするとした趣旨の条項もあります。核爆発を伴わない未臨界核実験が確認されても、協定を破棄する規定はありません。協力を停止したとしても、提供した機器などを稼働中の原発から撤去することはできません。協定ではまた、相手国の使用済み核燃料の再処理を認める決定をしています。このように、協定は核拡散を防止するものではなく、インドの核開発を促進させるような仕組みになっています。
核拡散を防止し、核兵器国に核削減を義務付けているNPTは完璧に空洞化し、核兵器国の権益を保護することを申し合わせる条約となっています。そして、北朝鮮のように核保有は「やったもの勝ち」の状態で、NPTは有名無実と化しています。ただ現状では、一応核拡散や核削減を掲げて5大核兵器国も加盟した取り決めは、残念ながらNPTしかありません。そのNPTは加盟していれば事足りるわけではなく、絶えず核兵器廃絶を目指さなければ意味がありません。しかし日本はNPT準備会合で、「核兵器は非人道的だとして、いかなる状況でも使用すべきではない」とする共同声明に反対しています。米国の日本に対する核の傘を維持し、核兵器国の軍事的選択のフリーハンドを守ろうとする姿勢を露骨にし、NPTの更なる骨抜きに手を貸そうとしています。
安倍政権は日印原子力協定によってインドへの原発輸出目論でいますが、世界的に原発産業は危機的状況にあり、日本も例外ではありません。傘下のウエストティングハウスが経営破綻した東芝は、原子力部門だけでなく本体が存亡の瀬戸際にあります。三菱重工は大型客船事業で巨額損失を計上し、米原発をめぐる賠償などの難問を抱えています。また、提携しているフランス原子力産業アレバも実質経営破綻し、巨額の出資を行うことになっています。日立製作所も米ゼネラル・エレクトリックとの合弁会社がウラン濃縮事業から撤退し、巨額の赤字を出しています。こうした状況でも安倍政権がインドと協定を結ぼうとするのは、インドを核保有国と認め、高速鉄道などインフラ輸出を有利に進めようとする意図が明らかです。
NAZEN 山陰 福間
インドは、主に1960〜70年代の中国とパキスタンとの戦争を経て、74年初めて核実験を行います。96年に国連で包括的核実験禁止条約(CTBT)が採択されたにもかかわらず、98年には5回の核実験を強行しています。数日後には、戦火を交えたパキスタンが核実験を行っています。インドを擁護するつもりはありませんが、インドの核開発は核兵器国の思惑が大きな影響を与えています。パキスタンを支援する核兵器国中国と国境問題などで対立し、非同盟中立のインドをロシアが支援するしたのに対し、アメリカはパキスタンにてこ入れしていました。そもそもインドとパキスタンはイギリスが植民地として収奪したのですから、独立したインドとパキスタンの戦争や核開発の責任があります。
とはいえ、現在のインドは自らが人類に対して責任を負わなければならない核兵器大国です。インドは約
100発の核兵器を所有し、さらに核分裂物質の生産を増加させていて、短期間で質と量を拡大させる状況にあります。また、核搭載爆撃機と弾道ミサイルや核搭載可能な短・中距離ミサイルも保有しています。そして、 弾道ミサイル搭載潜水艦4隻の建造を計画しています。このように堂々とした核兵器大国のインドですが、NPTは批准していません。NPTが、米露英仏中の核兵器国の権益を保護する排他的で不平等な特質を持つ条約であることは間違いありません。しかし核が拡散している現状で、NPT未加盟で独自に核開発する正当性などあるはずがなく、人類に対する挑戦に他ありません。
74年のインド核実験を契機として、兵器転用が可能となる原子力技術の輸出に制限が必要だとする協定が結ばれます。協定加盟国でNSG(原子力供給グループ)が組織化され、現在50カ国ほどの国で構成されています。しかし、2006年米国議会はインドと原発技術の取引が認められるよう法律を改定します。そして2008年のNSG会議で、NPTに調印していない国との原子力関連の貿易を禁じる規定からインドを無条件例外とすることで合意します。合意に至った裏には、政治的、軍事的世界戦略に基づいた米国の強引な工作があったことは明らかです。NPTの規定によって核削減と核拡散防止が義務付けられている米国が、NPT空洞化を先導していました。
日本とインドとの原子力協定も、NPTをさらに空洞化させる内容です。「核実験した場合協力停止」という規定は、内政干渉を主張するインドに押しきられて協定本文には明記されず、関連文書にその趣旨が盛り込まれただけです。またインドが核実験した場合、他国への対抗措置かどうか日本が考慮をするとした趣旨の条項もあります。核爆発を伴わない未臨界核実験が確認されても、協定を破棄する規定はありません。協力を停止したとしても、提供した機器などを稼働中の原発から撤去することはできません。協定ではまた、相手国の使用済み核燃料の再処理を認める決定をしています。このように、協定は核拡散を防止するものではなく、インドの核開発を促進させるような仕組みになっています。
核拡散を防止し、核兵器国に核削減を義務付けているNPTは完璧に空洞化し、核兵器国の権益を保護することを申し合わせる条約となっています。そして、北朝鮮のように核保有は「やったもの勝ち」の状態で、NPTは有名無実と化しています。ただ現状では、一応核拡散や核削減を掲げて5大核兵器国も加盟した取り決めは、残念ながらNPTしかありません。そのNPTは加盟していれば事足りるわけではなく、絶えず核兵器廃絶を目指さなければ意味がありません。しかし日本はNPT準備会合で、「核兵器は非人道的だとして、いかなる状況でも使用すべきではない」とする共同声明に反対しています。米国の日本に対する核の傘を維持し、核兵器国の軍事的選択のフリーハンドを守ろうとする姿勢を露骨にし、NPTの更なる骨抜きに手を貸そうとしています。
安倍政権は日印原子力協定によってインドへの原発輸出目論でいますが、世界的に原発産業は危機的状況にあり、日本も例外ではありません。傘下のウエストティングハウスが経営破綻した東芝は、原子力部門だけでなく本体が存亡の瀬戸際にあります。三菱重工は大型客船事業で巨額損失を計上し、米原発をめぐる賠償などの難問を抱えています。また、提携しているフランス原子力産業アレバも実質経営破綻し、巨額の出資を行うことになっています。日立製作所も米ゼネラル・エレクトリックとの合弁会社がウラン濃縮事業から撤退し、巨額の赤字を出しています。こうした状況でも安倍政権がインドと協定を結ぼうとするのは、インドを核保有国と認め、高速鉄道などインフラ輸出を有利に進めようとする意図が明らかです。
NAZEN 山陰 福間
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by nazensanin
| 2017-06-11 20:25
大飯原発再稼働絶対反対!
原子力規制委員会は、関西電力大飯原発3、4号機が新規制基準に適合すると認める「審査書」を正式決定しました。関電は、決定に基づいて今秋以降に再稼働する計画を明らかにしています。4号機が再稼働した高浜原発に続き、高浜原発の近距離にある大飯原発の再稼働など絶対許すわけにはいきません。原発立地が集中する地域で、大規模地震などの自然災害とともに原発事故が同時発生する可能性があります。大飯原発については、地震の揺れが過小評価されていると前規制委員長代理が指摘したにもかかわらず、規制委は棚上げにしたまま再稼働に向け「合格証」を与えました。原発依存率が高く、新電力の切り崩しで窮地に立つ関電に対して、住民の安全を置き去りにして、規制委がまたしてもお墨付きを与えたことを怒りを込めて抗議します。
福井県には関電の原発など、原子力施設が集中しています。関電の原発が、美浜原発1〜3号機、大飯原発1〜4号機、高浜原発1〜4号機、計3原発11基の原子炉があります。その他に、日本原子力発電の敦賀原発1、2号機、日本原子力研究開発機構の高速実験炉「もんじゅ」と新型転換炉「ふげん」があります。中には運転停止や廃炉が決定しているものもありますが、合計6原発15基の原子炉が福井県に立地しています。これらの原発で発電される電力は、関西圏で使用される電力の約60%をまかなっています。自然に恵まれ、住みやすさの目安となる都道府県「幸福度」ランキングでトップに位置付けられる福井県には、「原発銀座」と呼ばれる一面もあります。
規制委が再稼働に向けた合格証である「審査書」を決定した大飯原発の西13kmには、4号機が再稼働した高浜原発があります。それぞれの10km圏内が重なりあう近距離に8基の原子炉があります。東日本大震災で事故を起こした福島第1原発と、危機的状況に陥った第2原発との距離がほぼ同じです。大飯原発があるおおい町と高浜原発がある高浜町には合計約2万人が暮らしています。町ごとに策定された住民避難計画は一応ありますが、両原発で同時に事故が発生する事態は想定されていません。避難計画は一原発の単独事故のみを想定し、自然災害との複合的事故も想定されていません。大規模地震などとの複合的事故や複数原発の同時事故が起これば、避難計画など単なる幻想に過ぎないからです。
高浜町が策定した高浜原発事故時の避難計画では、東西に延びる国道27号線や舞鶴若狭自動車道を使って避難することになっています。海に近い国道27号線は津波被害が予想され、舞鶴若狭道に車が集中し、インターチェンジなどで大渋滞が発生する可能性があります。5km圏内の住民避難を優先させる段階的避難を原則としていますが、複数原発で同時に事故が起こったりすれば、住民が一斉に避難を始めることは明らかなことです。大飯原発の広域避難計画は、周辺自治体や避難先自治体の調整なども完了せず、策定時期の見通しも立っていません。まして複数の原発事故が同時に発生したり、自然災害と複合的に起こる事態などを想定した広域避難計画など策定しようがありません。
大飯原発3、4号機は、運転差し止めを求めた14年の福井地裁判で運転を差し止める判決を下されています。判決は求められる安全性について「原発は電気を生み出す経済活動であり、憲法上は人格権よりも劣位に置かれるべきだ。」としています。その上で、「自然災害や戦争以外で、この根元的な権利が極めて広範に奪われる可能性があるのは、原発事故以外に想定しにくい。具体的危険性があれば、差し止められるのは当然だ。」としています。原発の具体的で本質的危険性と人格権の優位性を認めています。ほかにも、大飯原発の地震に対する脆弱性や冷却機能の不確実性を指摘しています。また「原発を稼働させてコスト削減や電力供給の安定性を図ることと、人の生存に関わる権利を同列に論じることはできない」としました。大飯原発の本質的危険性を明確にし、人格権を認めた画期的な判決です。
判決が指摘する事故の危険性だけでなく、福井県の若狭湾にある関電の3原発を稼働させると危険な持って行き場のない核のゴミが大量に出ます。高浜原発、大飯原発、美浜原発が万一フル稼働した場合、各原発の使用済み核燃料プールは7年で満杯になります。福井県知事は県内での一時保管を認めない方針ですが、六ヶ所村再処理工場のプールもほぼ満杯です。もちろん最終処分場建設のメドも全く立っていません。また福井地裁判決でも明確化されているように、千本を超える使用済み核燃料を貯蔵する大飯原発は、プールから放射性物質が漏れた時、敷地外部への放出を防御する原子炉格納容器のような堅牢な設備はありません。形だけの広域避難計画しかなく、地震に対する脆弱性や住民の安全などを完全に無視し、行き場のない使用済み核燃料をさらに増加させる再稼働を絶対認めることはできません。
NAZEN 山陰 福間
福井県には関電の原発など、原子力施設が集中しています。関電の原発が、美浜原発1〜3号機、大飯原発1〜4号機、高浜原発1〜4号機、計3原発11基の原子炉があります。その他に、日本原子力発電の敦賀原発1、2号機、日本原子力研究開発機構の高速実験炉「もんじゅ」と新型転換炉「ふげん」があります。中には運転停止や廃炉が決定しているものもありますが、合計6原発15基の原子炉が福井県に立地しています。これらの原発で発電される電力は、関西圏で使用される電力の約60%をまかなっています。自然に恵まれ、住みやすさの目安となる都道府県「幸福度」ランキングでトップに位置付けられる福井県には、「原発銀座」と呼ばれる一面もあります。
規制委が再稼働に向けた合格証である「審査書」を決定した大飯原発の西13kmには、4号機が再稼働した高浜原発があります。それぞれの10km圏内が重なりあう近距離に8基の原子炉があります。東日本大震災で事故を起こした福島第1原発と、危機的状況に陥った第2原発との距離がほぼ同じです。大飯原発があるおおい町と高浜原発がある高浜町には合計約2万人が暮らしています。町ごとに策定された住民避難計画は一応ありますが、両原発で同時に事故が発生する事態は想定されていません。避難計画は一原発の単独事故のみを想定し、自然災害との複合的事故も想定されていません。大規模地震などとの複合的事故や複数原発の同時事故が起これば、避難計画など単なる幻想に過ぎないからです。
高浜町が策定した高浜原発事故時の避難計画では、東西に延びる国道27号線や舞鶴若狭自動車道を使って避難することになっています。海に近い国道27号線は津波被害が予想され、舞鶴若狭道に車が集中し、インターチェンジなどで大渋滞が発生する可能性があります。5km圏内の住民避難を優先させる段階的避難を原則としていますが、複数原発で同時に事故が起こったりすれば、住民が一斉に避難を始めることは明らかなことです。大飯原発の広域避難計画は、周辺自治体や避難先自治体の調整なども完了せず、策定時期の見通しも立っていません。まして複数の原発事故が同時に発生したり、自然災害と複合的に起こる事態などを想定した広域避難計画など策定しようがありません。
大飯原発3、4号機は、運転差し止めを求めた14年の福井地裁判で運転を差し止める判決を下されています。判決は求められる安全性について「原発は電気を生み出す経済活動であり、憲法上は人格権よりも劣位に置かれるべきだ。」としています。その上で、「自然災害や戦争以外で、この根元的な権利が極めて広範に奪われる可能性があるのは、原発事故以外に想定しにくい。具体的危険性があれば、差し止められるのは当然だ。」としています。原発の具体的で本質的危険性と人格権の優位性を認めています。ほかにも、大飯原発の地震に対する脆弱性や冷却機能の不確実性を指摘しています。また「原発を稼働させてコスト削減や電力供給の安定性を図ることと、人の生存に関わる権利を同列に論じることはできない」としました。大飯原発の本質的危険性を明確にし、人格権を認めた画期的な判決です。
判決が指摘する事故の危険性だけでなく、福井県の若狭湾にある関電の3原発を稼働させると危険な持って行き場のない核のゴミが大量に出ます。高浜原発、大飯原発、美浜原発が万一フル稼働した場合、各原発の使用済み核燃料プールは7年で満杯になります。福井県知事は県内での一時保管を認めない方針ですが、六ヶ所村再処理工場のプールもほぼ満杯です。もちろん最終処分場建設のメドも全く立っていません。また福井地裁判決でも明確化されているように、千本を超える使用済み核燃料を貯蔵する大飯原発は、プールから放射性物質が漏れた時、敷地外部への放出を防御する原子炉格納容器のような堅牢な設備はありません。形だけの広域避難計画しかなく、地震に対する脆弱性や住民の安全などを完全に無視し、行き場のない使用済み核燃料をさらに増加させる再稼働を絶対認めることはできません。
NAZEN 山陰 福間
#
by nazensanin
| 2017-06-04 21:56
山陰で原発再稼働阻止・全原発の即時廃止をめざす! 米子市道笑町3-24-202 tel・fax 0859-22-9908 福間育朗 090-4576-1161 gr5536qu6e359dre23nd@docomo.ne.jp
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