「常陽」を廃炉にせよ!核燃料サイクルを撤廃せよ!
高速実験炉「常陽」を運営する日本原子力研究開発機構は、新規制基準適合審査の申請をしています。ところが余りにもずさんな申請内容のため、規制委員会は機構に申請のやり直しを文書で指示しました。機構は、避難計画策定の範囲を狭めるため、常陽の出力を下げて運転するとの申請をしていました。これに対して規制委員会は「リスクを過小評価する恐れがあり適切でない」として、申請のやり直しを指示しました。高速増殖炉「もんじゅ」の運営主体として不適格だとして、レッドカードを突きつけられた機構が存在していることが問題です。さらに、核燃料サイクルの中核的施設である常陽を延命させることはそれ以上に大問題であり、絶対に許すことはできません。
高速実験炉常陽は、14万kwの熱出力です。しかし日本原子力研究開発機構は、新規制基準適合審査に10万kwとして申請しています。出力を低下させる改造などしないで、10万kw以下に出力を抑えて運転するということです。推進機関である規制委ですら「大型バイクを30km以下で走るから、原付き免許でいいというような話で、許すわけにいかない」と言うように、住民の安全など完全に無視した、実に悪らつなやり方です。出力が10万kw超なら30km圏内の避難計画を策定する必要がありますが、10万kw以下なら5km圏内の避難計画で認められます。審査会合で機構は「30kmのUPZに対応するためには時間がかかるので、出力を下げて早期稼働を優先した」などと堂々と述べています。
常陽は、茨城県庁所在地で人口約27万人の水戸市に隣接する大洗町に立地しています。5km圏内に大洗町のほか、水戸市、鉾田市、茨城町が含まれます。30km圏内には日立市や鹿嶋市なども含まれます。常陽の20km余り北の東海村には、周辺人口が国内で最も多い東海第2原発があります。5
km圏内に約9万人、30km圏内には約100万人の人口があります。そして茨城県にある原発関連施設はこれだけでなく、17の施設や研究機関などが集中しています。東海第2原発は、日立市と水戸市の間の人口密集地にあります。30km圏内の人口が約100万人にもなる東海第2原発に比べ、常陽の30km圏内人口も勝るとも劣らない規模になります。これほどの密集地に常陽や原発が立地することなど、あり得ないことです。
日本原子力研究開発機構が住民の存在や安全を無視し続ける体質は、出力を低下させて広域避難計画の範囲を狭め、常陽の運転を優先させようとした点だけに表れているわけではありません。機構が行った適合審査の申請には、驚くことに原子炉の炉心損壊想定がありません。過酷事故の際にも、冷却材である液体ナトリウムの自然環境で熱を抑制できるといった、原子力ムラでしか通用しない一昔前の安全神話を前提とした内容です。こうした機構の姿勢は今に始まったことではありません。国費1兆円以上を費やして事実上廃炉が決定している高速増殖炉「もんじゅ」を運転する機構が、度重なる事故や安全無視の姿勢のため不適格者の烙印を押されたのは記憶に新しいところです。
安倍政権が推進する核燃料サイクルは、再処理工場が稼働せず、「もんじゅ」廃炉が事実上決定した今、プルサーマル発電で辛うじて命脈を保っている状態です。破綻した核燃料サイクルを維持し、核武装の潜在的能力を確保しておくために、安倍政権にとって残る微かな手段である常陽は是が非でも運転しなければならないということです。核燃料サイクルから完全に撤退することになれば、協定で六ヶ所村の再処理工場プールに運び込まれた使用済み核燃料を県外に搬出することになっています。使用済み核燃料を搬出するにしても行き場はなく、原発の運転はできなくなります。フランスとの共同研究である高速実証炉アストリッド計画も見込みが立たず、命綱が常陽です。
もんじゅの一段階前の超老朽化した実験炉である常陽の再稼働を前提として、新規制基準の適合審査の申請をしなければならないほど安倍政権は追い込まれています。来年7月には、日本にプルトニウムの抽出を認めた日米原子力協定が30年の満期を迎えます。核武装にしか利用目的のないプルトニウムを約48トンも保有している現状では、日米原子力協定は破綻する可能性が高くなります。プルトニウムはいずれ高速炉で再利用するというストーリーを崩さないよう演出し、日米原子力協定を延長させるためにも、安倍政権にとって核燃料サイクルの維持や常陽運転は避けて通れません。しかし、すでに破綻してしまったものに固執しなけばならないほど安倍政権は追い込まれています。
NAZEN 山陰 福間
高速実験炉常陽は、14万kwの熱出力です。しかし日本原子力研究開発機構は、新規制基準適合審査に10万kwとして申請しています。出力を低下させる改造などしないで、10万kw以下に出力を抑えて運転するということです。推進機関である規制委ですら「大型バイクを30km以下で走るから、原付き免許でいいというような話で、許すわけにいかない」と言うように、住民の安全など完全に無視した、実に悪らつなやり方です。出力が10万kw超なら30km圏内の避難計画を策定する必要がありますが、10万kw以下なら5km圏内の避難計画で認められます。審査会合で機構は「30kmのUPZに対応するためには時間がかかるので、出力を下げて早期稼働を優先した」などと堂々と述べています。
常陽は、茨城県庁所在地で人口約27万人の水戸市に隣接する大洗町に立地しています。5km圏内に大洗町のほか、水戸市、鉾田市、茨城町が含まれます。30km圏内には日立市や鹿嶋市なども含まれます。常陽の20km余り北の東海村には、周辺人口が国内で最も多い東海第2原発があります。5
km圏内に約9万人、30km圏内には約100万人の人口があります。そして茨城県にある原発関連施設はこれだけでなく、17の施設や研究機関などが集中しています。東海第2原発は、日立市と水戸市の間の人口密集地にあります。30km圏内の人口が約100万人にもなる東海第2原発に比べ、常陽の30km圏内人口も勝るとも劣らない規模になります。これほどの密集地に常陽や原発が立地することなど、あり得ないことです。
日本原子力研究開発機構が住民の存在や安全を無視し続ける体質は、出力を低下させて広域避難計画の範囲を狭め、常陽の運転を優先させようとした点だけに表れているわけではありません。機構が行った適合審査の申請には、驚くことに原子炉の炉心損壊想定がありません。過酷事故の際にも、冷却材である液体ナトリウムの自然環境で熱を抑制できるといった、原子力ムラでしか通用しない一昔前の安全神話を前提とした内容です。こうした機構の姿勢は今に始まったことではありません。国費1兆円以上を費やして事実上廃炉が決定している高速増殖炉「もんじゅ」を運転する機構が、度重なる事故や安全無視の姿勢のため不適格者の烙印を押されたのは記憶に新しいところです。
安倍政権が推進する核燃料サイクルは、再処理工場が稼働せず、「もんじゅ」廃炉が事実上決定した今、プルサーマル発電で辛うじて命脈を保っている状態です。破綻した核燃料サイクルを維持し、核武装の潜在的能力を確保しておくために、安倍政権にとって残る微かな手段である常陽は是が非でも運転しなければならないということです。核燃料サイクルから完全に撤退することになれば、協定で六ヶ所村の再処理工場プールに運び込まれた使用済み核燃料を県外に搬出することになっています。使用済み核燃料を搬出するにしても行き場はなく、原発の運転はできなくなります。フランスとの共同研究である高速実証炉アストリッド計画も見込みが立たず、命綱が常陽です。
もんじゅの一段階前の超老朽化した実験炉である常陽の再稼働を前提として、新規制基準の適合審査の申請をしなければならないほど安倍政権は追い込まれています。来年7月には、日本にプルトニウムの抽出を認めた日米原子力協定が30年の満期を迎えます。核武装にしか利用目的のないプルトニウムを約48トンも保有している現状では、日米原子力協定は破綻する可能性が高くなります。プルトニウムはいずれ高速炉で再利用するというストーリーを崩さないよう演出し、日米原子力協定を延長させるためにも、安倍政権にとって核燃料サイクルの維持や常陽運転は避けて通れません。しかし、すでに破綻してしまったものに固執しなけばならないほど安倍政権は追い込まれています。
NAZEN 山陰 福間
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by nazensanin
| 2017-05-28 21:18
高浜原発再稼働反対、地域住民も立ち上がる!
福井県の関西電力高浜原発4号機(出力87万kw)が再稼働しました。多くの地域住民の反対を黙殺した再稼働であり、絶対に認めることはできません。4号機は16年2月に再稼働しましたが、3日後には作業中のトラブルで緊急停止しました。その後大津地裁が3、4号機に対する運転差し止めの仮処分決定を出したため、停止していました。しかし今年3月、不当にも大阪高裁が運転差し止めの仮処分を取り消す決定を下したため、関電が4号機から再稼働させました。さらに関電は、3号機も6月上旬に再稼働させるとしています。新規制基準の基づいた規制委員会の判断も、運転差し止めを取り消した大阪高裁の決定も、原発事故の可能性を認めながら再稼働を認めていて、絶対に許すことはできません。
関電が高浜原発4号機を再稼働させたのは他の電力会社と同様に、住民の安全など眼中になく収益のみ優先させたためです。原発を運転させなくとも電力はたりているのに、代替えで動かす火力発電所の燃料が不要になり、原発を稼働させればその分儲かるからに他ありません。発電量に占める原発の割合が約50%と高かった関電の電気料金は、原発が停止している現状では、他の電力会社に比べて高い水準にあります。さらに電力の完全自由化で、大阪ガスなどが関電より安い料金で攻勢をかけ、関電全体の8%ほどの契約が新電力に移行しています。そして、今年3月期の販売電力量は初めて中部電力を下回り、国内3位に転落しています。そこで原発を再稼働させて、電気料金を値下げして客を取り戻そうというわけです。
高浜原発4号機再稼働に対して、地元住民が反対の意思を明確に示しました。高浜原発は、若狭湾に突き出した内浦半島の付け根にあります。内浦半島の先に
67世帯133人が暮らす高浜町音海(おとみ)区があり、中心部から原発まで2kmほどしかありません。高浜原発で働く住民もいて、これまで40年にわたって共存してきた「地元中の地元」といえる地域です。しかし、福島原発事故が「安全だと錯覚していた」住民に事故の現実を突きつけました。高浜原発で深刻な事故が発生した場合、音海区の住民は直ちに避難しなければなりません。陸路で避難するためには、細い県道を通って原発に近づくしかありません。港湾施設が未整備な海路での避難も、天候次第であてにはなりません。
音海区の街角には、「高浜原発運転延長反対」の立て看板やのぼりが立てられています。地区住民が反対の意思を明確にしたのは、昨年6月に規制委員会が認めた1、2号機の40年を超過する運転延長がきっかけになっています。運転延長されれば、廃れた地区はますます人が寄りつかなくなると憂慮した有志が、昨年12月の区の総会で緊急動機を提出しました。運転延長に反対する意見書を関電に提出する緊急動議が総会に出されると、議論では提出に賛同する声ばかりで、動議はすんなり採択されます。慌てた関電、町役場、警察などが情報収集に奔走するなか、町長は「25億円で町道を整備する」などと飴をぶら下げますが、住民は関電や行政に対する怒りをさらに増幅させています。
国策の原発政策に表だって異論を上げなかった地元の住民は、明確に総意で反旗をひるがえしました。それは第1に福島原発事故、第2に関電や行政に対する不信感、第3に交付金などが投入されていながらも地元の荒廃が止まらない将来への絶望感などから発したものではないでしょうか。中でも福島原発事故の際、避難住民が遭遇した修羅場に原発事故の現実感を自らのこととして捉えたのだと思われます。昨年8月行われた避難訓練には、ヘリ4機、船3隻を使う予定でしたが、悪天候で出動したのはヘリ2機のみでした。30km圏内18万人が避難する広域避難計画では、京都府や兵庫県などに避難することになっていますが、避難先自治体のハード面もソフト面も整備されていません。「下見にも来ないでくれ」という自治体もあるような現状です。
高浜原発4号機の使用済み核燃料プールの貯蔵割合は、すでに80%を超えています。関電の高浜、大飯、美浜の各原発の平均も70%近くなっています。関電によると、管内の原発再稼働が進めば7年程度で満杯になるとのことです。2年前関電は、福井県外で中間貯蔵施設を建設し、30年ごろに操業を始めるとした「使用済燃料対策推進計画」を公表しています。しかし、候補地になる可能性がある関電の火力発電所が操業する舞鶴・宮津両市が反対の声を上げ、計画の見通しは全く立っていません。つまり、高レベル放射性廃棄物をさらに増加させる使用済み核燃料の行き場はないということです。まして高浜原発3、4号機は、MOX燃料を使用するプルサーマル発電が行われます。処理がさらに厄介な使用済みMOX燃料を増やすことを許してはなりません。
NAZEN 山陰 福間
関電が高浜原発4号機を再稼働させたのは他の電力会社と同様に、住民の安全など眼中になく収益のみ優先させたためです。原発を運転させなくとも電力はたりているのに、代替えで動かす火力発電所の燃料が不要になり、原発を稼働させればその分儲かるからに他ありません。発電量に占める原発の割合が約50%と高かった関電の電気料金は、原発が停止している現状では、他の電力会社に比べて高い水準にあります。さらに電力の完全自由化で、大阪ガスなどが関電より安い料金で攻勢をかけ、関電全体の8%ほどの契約が新電力に移行しています。そして、今年3月期の販売電力量は初めて中部電力を下回り、国内3位に転落しています。そこで原発を再稼働させて、電気料金を値下げして客を取り戻そうというわけです。
高浜原発4号機再稼働に対して、地元住民が反対の意思を明確に示しました。高浜原発は、若狭湾に突き出した内浦半島の付け根にあります。内浦半島の先に
67世帯133人が暮らす高浜町音海(おとみ)区があり、中心部から原発まで2kmほどしかありません。高浜原発で働く住民もいて、これまで40年にわたって共存してきた「地元中の地元」といえる地域です。しかし、福島原発事故が「安全だと錯覚していた」住民に事故の現実を突きつけました。高浜原発で深刻な事故が発生した場合、音海区の住民は直ちに避難しなければなりません。陸路で避難するためには、細い県道を通って原発に近づくしかありません。港湾施設が未整備な海路での避難も、天候次第であてにはなりません。
音海区の街角には、「高浜原発運転延長反対」の立て看板やのぼりが立てられています。地区住民が反対の意思を明確にしたのは、昨年6月に規制委員会が認めた1、2号機の40年を超過する運転延長がきっかけになっています。運転延長されれば、廃れた地区はますます人が寄りつかなくなると憂慮した有志が、昨年12月の区の総会で緊急動機を提出しました。運転延長に反対する意見書を関電に提出する緊急動議が総会に出されると、議論では提出に賛同する声ばかりで、動議はすんなり採択されます。慌てた関電、町役場、警察などが情報収集に奔走するなか、町長は「25億円で町道を整備する」などと飴をぶら下げますが、住民は関電や行政に対する怒りをさらに増幅させています。
国策の原発政策に表だって異論を上げなかった地元の住民は、明確に総意で反旗をひるがえしました。それは第1に福島原発事故、第2に関電や行政に対する不信感、第3に交付金などが投入されていながらも地元の荒廃が止まらない将来への絶望感などから発したものではないでしょうか。中でも福島原発事故の際、避難住民が遭遇した修羅場に原発事故の現実感を自らのこととして捉えたのだと思われます。昨年8月行われた避難訓練には、ヘリ4機、船3隻を使う予定でしたが、悪天候で出動したのはヘリ2機のみでした。30km圏内18万人が避難する広域避難計画では、京都府や兵庫県などに避難することになっていますが、避難先自治体のハード面もソフト面も整備されていません。「下見にも来ないでくれ」という自治体もあるような現状です。
高浜原発4号機の使用済み核燃料プールの貯蔵割合は、すでに80%を超えています。関電の高浜、大飯、美浜の各原発の平均も70%近くなっています。関電によると、管内の原発再稼働が進めば7年程度で満杯になるとのことです。2年前関電は、福井県外で中間貯蔵施設を建設し、30年ごろに操業を始めるとした「使用済燃料対策推進計画」を公表しています。しかし、候補地になる可能性がある関電の火力発電所が操業する舞鶴・宮津両市が反対の声を上げ、計画の見通しは全く立っていません。つまり、高レベル放射性廃棄物をさらに増加させる使用済み核燃料の行き場はないということです。まして高浜原発3、4号機は、MOX燃料を使用するプルサーマル発電が行われます。処理がさらに厄介な使用済みMOX燃料を増やすことを許してはなりません。
NAZEN 山陰 福間
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by nazensanin
| 2017-05-21 22:21
核のゴミを増やす原発稼働を止めよ!
原発から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場建設問題が迷走しています。経産省は昨年末、高レベル放射性廃棄物の最終処分場として適性がある地域を色分けした「科学的有望地」の地図を公表する予定でした。しかし「候補地に決まった印象がある」と反発を招き、発表を断念しています。経産省は「科学的特性マップ」などと姑息にも名称変更して新たに公表しようとしていますが、意味合いは同じため公表の目処は立っていません。そうした状況のなか、運転差し止めの仮処分が大阪高裁で覆った関電の高浜原発が、5月中旬の再稼働を目論んでいます。また、佐賀県知事が同意した九電の玄海原発が今夏の再稼働に向けて動いています。最終処分場建設が決まらないままで、さらにまた核のゴミ増やす再稼働を絶対許すことはできません。
原発から出る使用済み核燃料は再処理して、プルトニウムとウランを取り出します。残った高レベル放射性廃棄物を溶液にして、安定性が高いとされるガラスと混ぜ合わせた「ガラス固化体」にします。それを地下300mの地層に埋設して、万年単位で管理することになっています。これを規程しているのが、2000年に制定された特定放射性廃棄物の最終処分法です。この法律は、処分方法や処分場建設地選定などについて規程しています。戦争法や共謀罪がそうであるように、制定された当時、衆参両院を合わせて委員会の議論は9日間行ったに過ぎません。放射性廃棄物の地層処分そのものについて、さらには廃棄物を増やす原発稼働についての議論はもとよりのこと、広範な国民の合意形成を促す手続きなども行われることはありませんでした。
高レベル放射性廃棄物最終処分場に適する地層は、岩塩層、泥炭層、花崗岩層などと言われていますが、一長一短があるようです。そして、活断層や火山がなく、地下水の影響を受けにくい場所とされています。また、高レベル放射性廃棄物は海に面した再処理施設から船で運搬されるため、最終処分場は港湾施設から近距離の場所が適するとされています。こうした条件をクリアしたとしても、数万年〜10万年を超える天文学的時間経過のなかで、安定した地層を選定することは不可能に近いことです。さらに人為的な困難さもあります。10万年を超える想像できない時間経過を乗り越えて、廃棄物や処分場などの情報を未来の人類に伝達できるかどうかというこです。
最終処分法によって、NUMO(原子力発電環境整備機構)がその事業主体だと規程されます。しかし、最終処分法が整備された2000年以来今に至るまで、NUMOによる処分場の最初の調査である文献調査にも着手できていません。処分場への地方自治体の応募を待っている状態でしたが、住民の圧倒的反対に遇うことが目に見えているため、当然のように応募する自治体は皆無でした。そこで、政府は処分場選定を国が前面に立って取り組むことができるよう枠組みを変更します。政府が「科学的有望地」を提示し、調査などへの理解と協力について自治体に申し入れを行うとしています。しかし、「科学的有望地」とする候補地が「科学的」である根拠はありません。沖縄と同様に、反対を無視して威嚇的に有望地選定することは明らかです。
処分場選定が進まないなか、全国の原発から運び込まれた使用済み核燃料で、青森県六ヶ所村にある日本原燃の再処理工場のプールは満杯になろうとしています。容量3千トンのうち2千968トンが埋まり、ほぼ空きはありません。耐震工事を行うため、17年度の新たな使用済み核燃料の受け入れ予定はありません。しかしそもそも、1993年に着工した再処理工場は、トラブル続きで20回以上も完成時期を延期したままです。
14年に新規制基準の適合審査を申請していますが、未だに適合していません。つまり、核燃料サイクルの中核的施設である使用済み核燃料再処理工場は稼働することなく、使用済み核燃料の単なる貯蔵プールとなっています。
満杯状態なのは再処理工場のプールだけではありません。全国の原発にある使用済み核燃料のプールも、いずれ近いうちに満杯になってしまいます。管理容量に対する貯蔵量は、浜岡原発が87%、柏崎刈羽原発が82%、玄海原発が80%などとなっていて、全国の合計が75%です。今夏にも再稼働される可能性がある九電の玄海原発は、再稼働しても、外部に搬出しなければ
4〜5年でプールは満杯になります。東電と日本原電は、「リサクル燃料貯蔵」を設立し、青森県むつ市に使用済み核燃料を空冷式で中間貯蔵するための施設を建設していますが、この施設も新規制基準の審査に適合していません。しかしこうした施設を建設することよりも、再稼働を止めて核のゴミをこれ以上増やさないことこそ肝要です。
NAZEN 山陰 福間
原発から出る使用済み核燃料は再処理して、プルトニウムとウランを取り出します。残った高レベル放射性廃棄物を溶液にして、安定性が高いとされるガラスと混ぜ合わせた「ガラス固化体」にします。それを地下300mの地層に埋設して、万年単位で管理することになっています。これを規程しているのが、2000年に制定された特定放射性廃棄物の最終処分法です。この法律は、処分方法や処分場建設地選定などについて規程しています。戦争法や共謀罪がそうであるように、制定された当時、衆参両院を合わせて委員会の議論は9日間行ったに過ぎません。放射性廃棄物の地層処分そのものについて、さらには廃棄物を増やす原発稼働についての議論はもとよりのこと、広範な国民の合意形成を促す手続きなども行われることはありませんでした。
高レベル放射性廃棄物最終処分場に適する地層は、岩塩層、泥炭層、花崗岩層などと言われていますが、一長一短があるようです。そして、活断層や火山がなく、地下水の影響を受けにくい場所とされています。また、高レベル放射性廃棄物は海に面した再処理施設から船で運搬されるため、最終処分場は港湾施設から近距離の場所が適するとされています。こうした条件をクリアしたとしても、数万年〜10万年を超える天文学的時間経過のなかで、安定した地層を選定することは不可能に近いことです。さらに人為的な困難さもあります。10万年を超える想像できない時間経過を乗り越えて、廃棄物や処分場などの情報を未来の人類に伝達できるかどうかというこです。
最終処分法によって、NUMO(原子力発電環境整備機構)がその事業主体だと規程されます。しかし、最終処分法が整備された2000年以来今に至るまで、NUMOによる処分場の最初の調査である文献調査にも着手できていません。処分場への地方自治体の応募を待っている状態でしたが、住民の圧倒的反対に遇うことが目に見えているため、当然のように応募する自治体は皆無でした。そこで、政府は処分場選定を国が前面に立って取り組むことができるよう枠組みを変更します。政府が「科学的有望地」を提示し、調査などへの理解と協力について自治体に申し入れを行うとしています。しかし、「科学的有望地」とする候補地が「科学的」である根拠はありません。沖縄と同様に、反対を無視して威嚇的に有望地選定することは明らかです。
処分場選定が進まないなか、全国の原発から運び込まれた使用済み核燃料で、青森県六ヶ所村にある日本原燃の再処理工場のプールは満杯になろうとしています。容量3千トンのうち2千968トンが埋まり、ほぼ空きはありません。耐震工事を行うため、17年度の新たな使用済み核燃料の受け入れ予定はありません。しかしそもそも、1993年に着工した再処理工場は、トラブル続きで20回以上も完成時期を延期したままです。
14年に新規制基準の適合審査を申請していますが、未だに適合していません。つまり、核燃料サイクルの中核的施設である使用済み核燃料再処理工場は稼働することなく、使用済み核燃料の単なる貯蔵プールとなっています。
満杯状態なのは再処理工場のプールだけではありません。全国の原発にある使用済み核燃料のプールも、いずれ近いうちに満杯になってしまいます。管理容量に対する貯蔵量は、浜岡原発が87%、柏崎刈羽原発が82%、玄海原発が80%などとなっていて、全国の合計が75%です。今夏にも再稼働される可能性がある九電の玄海原発は、再稼働しても、外部に搬出しなければ
4〜5年でプールは満杯になります。東電と日本原電は、「リサクル燃料貯蔵」を設立し、青森県むつ市に使用済み核燃料を空冷式で中間貯蔵するための施設を建設していますが、この施設も新規制基準の審査に適合していません。しかしこうした施設を建設することよりも、再稼働を止めて核のゴミをこれ以上増やさないことこそ肝要です。
NAZEN 山陰 福間
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by nazensanin
| 2017-05-15 19:01
実効性のある避難計画はない!
ゴールデンウィークで好天に恵まれたこともあり、行楽地は多くの人でにぎわっています。松江市でも、県内外の車で中心部などは渋滞しています。こうした時ふと思い浮かぶのは、万一島根原発で深刻な事故が発生した場合、避難計画が役に立つのかということです。島根原発の5km圏内には1万人、30km圏内には46万人、合計約47万人の人口があります。島根県庁、松江市役所、島根大学、松江地裁、JR松江駅などの主要施設が10km圏内にほぼ収まります。島根原発は、シビアアクシデントが発生すれば直ぐにも強制避難しなければならない近距離に、県や松江市の中核的施設を抱えています。30km圏内の人口は、国内原発では3番目に多くなっています。島根原発にはこうした特殊性があります。
政府は原子力災害対策特別措置法を根拠として、該当する地方自治体に原子力災害対策指針に基づいた地域防災計画を策定することを求めています。この計画に則って広域避難計画を策定することが義務付けられています。内閣府は「地域防災計画を作成する自治体に対する支援を行っています」としていますが、計画策定を自治体に丸投げしていることに変わりありません。島根県と松江市や出雲市なども広域避難計画を策定しています。島根県の広域避難計画は12年に策定され、その後16年に改定されています。
島根原発で事故が起きた際、住民避難に多数の車両を調達しなければなりません。その車両を確保するため、島根県は中国5県のバス協会とタクシー協会との協議に入りました。2017年度中の協定締結に向け、その基本的な枠組みが決定されました。必要な台数の把握に向け、放射性物質が放出される前に避難する5km圏内と、屋内退避して段階的に避難する5〜30km圏内とで県が実態調査を行いました。それによると、バスが約3万7千人分、車いすやストレッチー対応の福祉車両が約1万1千人分必要と算定されています。これを40人乗りバスに換算すると約900台必要となりますが、島根と鳥取の協会に加盟している貸し切りバスは計600台ほどで、300台ほどたりません。そこで不足するバスなどを他県から調達しようというわけです。
住民避難のためにバスを確保して、広域避難計画に実効性があるかのように外形を取り繕ろうとしていますが、全くの絵空事に過ぎません。山陰両県で登録されているバスが600台であっても、突発的に発生する原発事故の際に調達できるバスは限定的です。広域避難計画では、5〜30km圏内のUPZは、毎時500マイクロシーベルトを超えると即時避難し、20マイクロシーベルトを超えると1週間以内に避難することになっています。こうした段階的避難が計画通り実施されたとしても、放射線量上昇が予定されているわけではなく、風向きも日々変化します。つまり5km圏内のPAZはもちろんのこと、UPZも避難はある日突然行われることに違いはありません。ということは、調達できるバスは限定的です。
仮にバスを調達できたとしても、バスを運転する労働者を確保することはさらに困難です。山口などから調達するバスは、渋滞する道路事情や地理不案内などもあって、労働時間や安全を確保するためには1台に複数の運転手が必要となります。また、高線量の地域に誰がどういう権限で労働者を派遣するかという問題もあります。バス協会と協定を結ぶわけですが、あくまで協定であって法的根拠はありません。労働者が健康被害を被っても、法的裏付けのある補償を受けられるわけでもありません。結局のところ、現場ではバス会社の責任者が何の権限もなく、運転手に高線量地域への派遣を要請することになります。そうなれば弱い立場にある労働者は、要請を受け入れざるを得ないことになります。
島根原発の事故時に緊急輸送する協定は、中国5県のバス協会との間で島根、鳥取両県が締結しました。両県は各協会に対して、線量計や防護服など輸送に必要な装備を貸与し、放射線に関する研修も実施するとしています。また、全ての経費は両県が負担することも合意しています。こうした協定によって、広域避難計画の実効性度合いが高まったように思えますが、事実は全く異なります。バスなどで輸送する住民を30km圏内人口の約10%と見積もられていますが、それで収まる保証はありません。そして協定書では、運転手の安全を確保するため、一般人の年間被ばく線量限度と同じ1ミリシーベルトを下回る場合に限って運行を要請としています。ということは、事故時の高線量ではバスの緊急輸送など単なる幻想に過ぎないということです。
実効性のある避難計画などあり得ないことです。先ずは原発を稼働させないことが、避難計画に実効性を持たせることになります。広域避難計画は、原発再稼働を前提とした外形的な体裁を整えるためで、実効性など問題外の計画であり、絶対反対です。
NAZEN 山陰 福間
政府は原子力災害対策特別措置法を根拠として、該当する地方自治体に原子力災害対策指針に基づいた地域防災計画を策定することを求めています。この計画に則って広域避難計画を策定することが義務付けられています。内閣府は「地域防災計画を作成する自治体に対する支援を行っています」としていますが、計画策定を自治体に丸投げしていることに変わりありません。島根県と松江市や出雲市なども広域避難計画を策定しています。島根県の広域避難計画は12年に策定され、その後16年に改定されています。
島根原発で事故が起きた際、住民避難に多数の車両を調達しなければなりません。その車両を確保するため、島根県は中国5県のバス協会とタクシー協会との協議に入りました。2017年度中の協定締結に向け、その基本的な枠組みが決定されました。必要な台数の把握に向け、放射性物質が放出される前に避難する5km圏内と、屋内退避して段階的に避難する5〜30km圏内とで県が実態調査を行いました。それによると、バスが約3万7千人分、車いすやストレッチー対応の福祉車両が約1万1千人分必要と算定されています。これを40人乗りバスに換算すると約900台必要となりますが、島根と鳥取の協会に加盟している貸し切りバスは計600台ほどで、300台ほどたりません。そこで不足するバスなどを他県から調達しようというわけです。
住民避難のためにバスを確保して、広域避難計画に実効性があるかのように外形を取り繕ろうとしていますが、全くの絵空事に過ぎません。山陰両県で登録されているバスが600台であっても、突発的に発生する原発事故の際に調達できるバスは限定的です。広域避難計画では、5〜30km圏内のUPZは、毎時500マイクロシーベルトを超えると即時避難し、20マイクロシーベルトを超えると1週間以内に避難することになっています。こうした段階的避難が計画通り実施されたとしても、放射線量上昇が予定されているわけではなく、風向きも日々変化します。つまり5km圏内のPAZはもちろんのこと、UPZも避難はある日突然行われることに違いはありません。ということは、調達できるバスは限定的です。
仮にバスを調達できたとしても、バスを運転する労働者を確保することはさらに困難です。山口などから調達するバスは、渋滞する道路事情や地理不案内などもあって、労働時間や安全を確保するためには1台に複数の運転手が必要となります。また、高線量の地域に誰がどういう権限で労働者を派遣するかという問題もあります。バス協会と協定を結ぶわけですが、あくまで協定であって法的根拠はありません。労働者が健康被害を被っても、法的裏付けのある補償を受けられるわけでもありません。結局のところ、現場ではバス会社の責任者が何の権限もなく、運転手に高線量地域への派遣を要請することになります。そうなれば弱い立場にある労働者は、要請を受け入れざるを得ないことになります。
島根原発の事故時に緊急輸送する協定は、中国5県のバス協会との間で島根、鳥取両県が締結しました。両県は各協会に対して、線量計や防護服など輸送に必要な装備を貸与し、放射線に関する研修も実施するとしています。また、全ての経費は両県が負担することも合意しています。こうした協定によって、広域避難計画の実効性度合いが高まったように思えますが、事実は全く異なります。バスなどで輸送する住民を30km圏内人口の約10%と見積もられていますが、それで収まる保証はありません。そして協定書では、運転手の安全を確保するため、一般人の年間被ばく線量限度と同じ1ミリシーベルトを下回る場合に限って運行を要請としています。ということは、事故時の高線量ではバスの緊急輸送など単なる幻想に過ぎないということです。
実効性のある避難計画などあり得ないことです。先ずは原発を稼働させないことが、避難計画に実効性を持たせることになります。広域避難計画は、原発再稼働を前提とした外形的な体裁を整えるためで、実効性など問題外の計画であり、絶対反対です。
NAZEN 山陰 福間
#
by nazensanin
| 2017-05-07 20:29
共謀罪絶対反対!
組織的犯罪処罰法改悪案の本格的審議が衆議院法務委員会で始まりました。安倍政権はオリンピックを開催するために必要な「テロ等準備罪」などと称していますが、憲法を破壊し戦争への道を拓く共謀罪であって、絶対に許すことはできません。何の証拠もなくアサド政権が化学兵器を使用したとして、米軍はシリアにトマホークミサイルで攻撃しました。また、戦略爆撃機B1Bなどが参加して米韓合同軍事演習を行う一方で、米海軍がカールビンソン空母打撃群、原潜ミシガンなどを朝鮮半島近海に派遣して、「朝鮮半島危機」を煽り立てています。こうした米軍の行動を安倍首相は即座に賛同の意を表明しています。さらに、北朝鮮のテロ行為を防止するためにも共謀罪制定が必要として、一連の米軍や自衛隊の北朝鮮挑発を共謀罪審議に利用しています。
共謀罪法案とは、組織的犯罪処罰法に6条の2を新設し、組織的犯罪集団の活動として、犯罪遂行の計画をした者を処罰するというものです。現行刑法では、犯罪意思だけで処罰されることはありません。それが具体的な結果・被害として現れて初めて処罰対象となります。「既遂」処罰が原則であり、まれに「未遂」で犯罪が成立することはありますが、それ以前の「予備」は極めて例外的です。しかも、いずれも「行為」があって初めて犯罪が成立するというのが刑法の大原則です。それに対して共謀罪は、この「予備」よりもはるか以前の「合意」だけで、「行為」がなくても犯罪が成立して処罰の対象となるというものです。「行為」ではなく、「内心の自由」を処罰しようとするのが共謀罪です。
共謀罪は、戦前の治安維持法に匹敵する危険性のため過去3回廃案になっています。安倍政権は 、東京オリンピック開催を目前にして、国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を批准して、国際的に情報共有してテロを防ぐためとして、共謀罪の制定の必要性を表明しています。しかし、TOC条約はいわゆるテロ防止のための条約ではありません。マフィアなどの組織的犯罪集団の暴力や国際的なマネーロンダリングを取り締まるために国連で採択された条約で、パレルモ条約と呼ばれることもあります。TOC条約は、各国の基本原則に基づいて国内法を整備すればよいとしていて、共謀罪を立法化することは求めていません。条約を批准した国でも、新たに共謀罪を制定したのはノルウェーなど極わずかしかありません。
日本における組織犯罪集団が関与する犯罪行為を取り締まるために、未遂以前の処罰が相当数行われています。未遂前の段階で取り締まることができる各種予備・共謀罪が既に58もあります。また、「共謀共同正犯」を認める判例もあり、広範囲で共犯処罰が可能となっているのが現状です。「共謀共同正犯」とは、犯罪実行の意思形成過程のみ参加したが共同実行には参加しなかった場合でも、複数が共同して犯罪行為を実行したと認定される罪状です。共謀罪と異なり犯罪の実行が要件となりますが、最高裁判例もあります。現状でもこうした状況ですので、共謀罪を立法化しなくてもTOC条約批准に何ら支障はありません。
現在審議されている共謀罪の自民党案には、「テロ防止」の文言も趣旨も盛り込まれていませんでした。北朝鮮情勢の緊迫化を受けて、「テロ」を入れておけば反対し難いとの意図があるのは明らかです。それでは、すでに共謀罪などある国でテロ行為が防止されているのかと言えば、答えはNOです。いわゆるテロは、戦争、貧困、差別など国家的歪みのなかで複合的な要因で起こり、法律や武力で抑止することできないと言われています。安倍政権が共謀罪制定を目論むのは、
TOC条約批准のためではなく、テロ防止のためでもありません。戦争法、特定秘密保護法など制定し、改憲に突き進む安倍政権にとって、全ての反対勢力は監視しておく必要があります。そのための便利な道具が共謀罪です。
安倍政権は共謀罪審議の答弁で一般市民は対象ではないとしていますが、法務副大臣は一般市民も対象になるとの趣旨を答弁しています。そして、正当に活動する団体が犯罪を行う団体に一変したと認められる場合、対象になるとの判断を示しています。「一変したと認める」のは捜査機関である警察です。逮捕令状などを請求された裁判所が正当な手続きを踏むので、法的なチェックは行われると政府は答弁しています。しかし、警察が無法にGPSを取り付けたり、組合事務所敷地内に無法で無許可にカメラを設置して監視していた事例など枚挙にいとまがありません。逮捕令状を請求された裁判所が交付を却下したのは、たった0.05%です。裁判所にチェック機能があるとは幻想に過ぎません。
「テロ集団」と「組織的犯罪集団」の定義や罪状などは政府の答弁でも曖昧模糊としています。捜査機関によっていくらでも解釈可能で、どの団体にも拡大適用が可能となっているのが共謀罪です。そもそも安倍政権には、限定解釈する意思は当初よりなかったのです。市民団体、宗教団体、サークル活動など全てを対象として、憲法改悪反対や戦争反対などあらゆる反政府活動に広く網をかけて監視や組織の破壊をするために、拡大解釈ができる共謀罪が必要だったのです。最大のターゲットは労働組合や市民団体です。ストライキを闘う労組、辺野古基地建設と闘う市民団体、反原発や戦争反対を掲げて闘う市民団体など、強固な団結力を持った労組や市民団体こそ、真っ先に共謀罪の対象となります。
共謀罪絶対反対!
NAZEN 山陰 福間
共謀罪法案とは、組織的犯罪処罰法に6条の2を新設し、組織的犯罪集団の活動として、犯罪遂行の計画をした者を処罰するというものです。現行刑法では、犯罪意思だけで処罰されることはありません。それが具体的な結果・被害として現れて初めて処罰対象となります。「既遂」処罰が原則であり、まれに「未遂」で犯罪が成立することはありますが、それ以前の「予備」は極めて例外的です。しかも、いずれも「行為」があって初めて犯罪が成立するというのが刑法の大原則です。それに対して共謀罪は、この「予備」よりもはるか以前の「合意」だけで、「行為」がなくても犯罪が成立して処罰の対象となるというものです。「行為」ではなく、「内心の自由」を処罰しようとするのが共謀罪です。
共謀罪は、戦前の治安維持法に匹敵する危険性のため過去3回廃案になっています。安倍政権は 、東京オリンピック開催を目前にして、国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を批准して、国際的に情報共有してテロを防ぐためとして、共謀罪の制定の必要性を表明しています。しかし、TOC条約はいわゆるテロ防止のための条約ではありません。マフィアなどの組織的犯罪集団の暴力や国際的なマネーロンダリングを取り締まるために国連で採択された条約で、パレルモ条約と呼ばれることもあります。TOC条約は、各国の基本原則に基づいて国内法を整備すればよいとしていて、共謀罪を立法化することは求めていません。条約を批准した国でも、新たに共謀罪を制定したのはノルウェーなど極わずかしかありません。
日本における組織犯罪集団が関与する犯罪行為を取り締まるために、未遂以前の処罰が相当数行われています。未遂前の段階で取り締まることができる各種予備・共謀罪が既に58もあります。また、「共謀共同正犯」を認める判例もあり、広範囲で共犯処罰が可能となっているのが現状です。「共謀共同正犯」とは、犯罪実行の意思形成過程のみ参加したが共同実行には参加しなかった場合でも、複数が共同して犯罪行為を実行したと認定される罪状です。共謀罪と異なり犯罪の実行が要件となりますが、最高裁判例もあります。現状でもこうした状況ですので、共謀罪を立法化しなくてもTOC条約批准に何ら支障はありません。
現在審議されている共謀罪の自民党案には、「テロ防止」の文言も趣旨も盛り込まれていませんでした。北朝鮮情勢の緊迫化を受けて、「テロ」を入れておけば反対し難いとの意図があるのは明らかです。それでは、すでに共謀罪などある国でテロ行為が防止されているのかと言えば、答えはNOです。いわゆるテロは、戦争、貧困、差別など国家的歪みのなかで複合的な要因で起こり、法律や武力で抑止することできないと言われています。安倍政権が共謀罪制定を目論むのは、
TOC条約批准のためではなく、テロ防止のためでもありません。戦争法、特定秘密保護法など制定し、改憲に突き進む安倍政権にとって、全ての反対勢力は監視しておく必要があります。そのための便利な道具が共謀罪です。
安倍政権は共謀罪審議の答弁で一般市民は対象ではないとしていますが、法務副大臣は一般市民も対象になるとの趣旨を答弁しています。そして、正当に活動する団体が犯罪を行う団体に一変したと認められる場合、対象になるとの判断を示しています。「一変したと認める」のは捜査機関である警察です。逮捕令状などを請求された裁判所が正当な手続きを踏むので、法的なチェックは行われると政府は答弁しています。しかし、警察が無法にGPSを取り付けたり、組合事務所敷地内に無法で無許可にカメラを設置して監視していた事例など枚挙にいとまがありません。逮捕令状を請求された裁判所が交付を却下したのは、たった0.05%です。裁判所にチェック機能があるとは幻想に過ぎません。
「テロ集団」と「組織的犯罪集団」の定義や罪状などは政府の答弁でも曖昧模糊としています。捜査機関によっていくらでも解釈可能で、どの団体にも拡大適用が可能となっているのが共謀罪です。そもそも安倍政権には、限定解釈する意思は当初よりなかったのです。市民団体、宗教団体、サークル活動など全てを対象として、憲法改悪反対や戦争反対などあらゆる反政府活動に広く網をかけて監視や組織の破壊をするために、拡大解釈ができる共謀罪が必要だったのです。最大のターゲットは労働組合や市民団体です。ストライキを闘う労組、辺野古基地建設と闘う市民団体、反原発や戦争反対を掲げて闘う市民団体など、強固な団結力を持った労組や市民団体こそ、真っ先に共謀罪の対象となります。
共謀罪絶対反対!
NAZEN 山陰 福間
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by nazensanin
| 2017-04-30 17:34
山陰で原発再稼働阻止・全原発の即時廃止をめざす! 米子市道笑町3-24-202 tel・fax 0859-22-9908 福間育朗 090-4576-1161 gr5536qu6e359dre23nd@docomo.ne.jp
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